業界研究/企業分析

【医薬品業界】小野薬品工業は成長企業?今後は?【就活】

小野薬品と言えば製薬業界の中堅企業として知られていますが、現在急速に業績が上昇傾向にあります。
近年ずっと横ばいだった業績の小野薬品工業になにがあったのでしょうか?

業績急成長!


これにより2015年時点で1350億程度であった売り上げが、2018年時点では一気に2618億円まで驚異的に増加しました。

3年という短期間で売上額約2倍です。凄いです。

また営業利益も264億円→606億円となっており、かなりの業績アップと言えます!

営業利益率23%と超優良企業です。(2018年時点)

また、それに伴い『年収』も右肩上がりに上がっています。
特に2018年は900万円を超えました。

小野薬品_平均年収2012-2018
ちなみに小野薬品工業は大阪府に本社を置く、従業員数3,292名(単独)の製薬メーカーです。

新タイプの抗がん剤が開発された!


小野薬品の急速な業績アップを支えているのは新タイプの免疫治療抗がん剤である『オプジーボ』の開発・上市によるところが大きいです。

新タイプの抗がん剤

オプジーボは『免疫チェックポイント阻害剤』と言われるタイプの薬剤で、人間がもともと持っている抗体を活性化させ、がん細胞を攻撃することで抗がん効果を発揮します。

ノーベル賞受賞者『本庶佑氏との共同開発』

このオプジーボですが、京都大学の『本庶 佑(ほんじょ たすく)』氏の研究を基に開発されました。
特許も小野薬品と本庶氏の共願となっており、本庶先生なくしては開発されなかった薬剤です。
本庶氏はオプジーボと関連の深いPD-1分子の研究で、2018年度ノーベル生理学・医学賞を受賞しました。
アカデミックとビジネスの融合が実現した画期的な例でもあります。

多くの患者を救っている

京都大学の本庶先生との連携で開発されたオプジーボですが、実際に多くのがん患者の方への効果が確認されています。
投薬の結果回復した事例が数多く報告されており、今後国内外でさらなる適用が予想されています。

原因は不明ですが一定の割合で効果を示さない患者さんもおられます。
そのため、今後は『なぜ効かないのか?』『どうすれば効くのか?』というところがより活発に研究され、さらに適用事例が増えることが考えられます。

今後の脅威は?

現在のところ『オプジーボ』に支えられて業績好調な小野薬品ですが、懸念もあります。

類似品

その一つが類似品の開発です。
オプジーボは免疫に作用するタイプの薬ですが、同じような作用機序で働く薬が国内外で開発・販売されています。例えば、中外製薬の『キイトルーダ』もその一つです。
その結果、競合が増え薬価の引き下げを余儀なくされてしまっています。
事実、薬価改定などにより当初の販売価格から50%以上値下がりしました。
また今後もより競合が増加する可能性もあります。

大学への寄付

もう一つは寄付要求の高まりです。
実は、本庶氏側からの小野薬品に対する、若手研究者への寄付の呼びかけがあります。
オプジーボは『大学の基礎研究→企業による製品化』という産学の連携が産んだ貴重な成功例でもあります。
そのためもう少しアカデミックに利益の還元があっても良いのではないかというのが本庶氏の主張です。今、その寄付金額で少し揉めています。
現在、オプジーボにより大きな利益がある小野薬品ですが、今後は多少利益を圧迫するかもしれません。

ノーベル賞受賞者の意見なので無視するわけにもいきません。

今後の製薬開発の難しさ

これは小野薬品に限った話では有りませんが、近年の医薬品研究開発は非常に高難度であることが知られています。
これは一つは開発難易度の低い医薬品は、既に発掘され尽くしてきているからです。
1つの医薬品を開発するのに、成功確率2~3万分の1、開発期間約15年などのデータもあります。

低分子医薬品に関しては、膨大な研究によりネタがなくなりつつあります。

特許切れ

これも小野薬品に限りませんが、特許の問題があります。
医薬品を高価格で販売できるのは特許で守られている20年程度の期間だけです。
それが切れるとジェネリック医薬品の台頭のため、売り上げが大きく下がります。
その間に新規の医薬品を上市せねばならず、膨大な研究開発費を考えると安泰とは言えません。

まとめ


小野薬品工業は3年間で業績を2倍にした急成長企業です。
懸念事項もあるとは言え、今後も成長が見込まれる注目の製薬企業であることは間違いありません。
平均年収も右肩上がりに増加しており、就活生や転職者には要注目であると言えます。

少なくとも10年以上は優良企業だと思います。

2018年度の採用校実績(理系)

2018年度の理系採用実績を紹介します。

東大、京大、阪大、東北大、九大、筑波大、名大、神戸大、東京理科大、慶應大、他(計38校)

配属先は研究26名、開発6名、生産7名となっています。

«参考:2019年度版 四季報»

参考資料

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