分析化学

【化学】GC/MSの簡単な解説【ざっくり】

化学

GC/MSは化学をやっている人ならよく耳にする分析手法だと思います。
管理人の会社にもあるのですが、とても便利でよく使います。
この記事では初心者向けにGC/MSの簡単な説明を行いたいと思います。

GC/MSとは

GC/MSは化学物質の詳細な分析を行うことのできる装置です。
調べたい試料の成分情報を明らかにしてくれます。
GC/MSは、GC(ガスクロマトグラフ)MS(質量分析)が組み合わさった装置です!

  1. GCの分子の種類を分けるという仕組みと
  2. MSの質量を検出するという仕組み

これらが一つになった装置です。

・①のGC(クロマトグラム)というのは、カラムにより化学物質を分ける仕組みです。
・②の質量分析というのは、化学物質の質量を検出する技術です。

それぞれ単独で使用することもできますが、これらが組み合わさることで、混合物の同定が可能になるのです。

・GC(ガスクロ)だけだと複雑に混じり合った化学物質を分けることはできても、それぞれが具体的に何の化学物質かはわかりません。

・MS(質量分析)だけだと、単一成分の場合、その化学物質が具体的に何かがわかりますが、何種類も複雑に混じり合ったような混合サンプルだとただのぐちゃぐちゃなピークが得られるだけです。

GC/MSはガスクロ部分によって成分を“1つ1つに分離” → MS部分でそれぞれを詳細に“質量分析”する
という流れになります。

GC/MSはGC(ガスクロ)とMS(質量分析)が複合された装置である

GC/MSでできること

ではGC/MSで何がわかるのかというと、
サンプルの成分同定
ができます!

このサンプルにはAという化学物質とBという化学物質に加え、Cという化学物質が入っているな、というようなことがわかります。
IR(赤外分光法)も物質の同定などによく使用される分析手法ですが、GC/MSの方が基本的には精度が高いです。
理由は、①GC/MSでは混合物であっても中身を同定できる ②GC/MSでは分子量がわかる(分子イオンピークが検出されるため) などが挙げられます。

何種類もの化学物質が入っているサンプルなのに、その中身がわかるというのは凄いですよね。
何故こんなことができるのかというと、GCによる“分”とMSによる“解析”という、2つの技術が融合されているからなんですね。

GC/MSでできないこと

しかし、GC/MSは万能かというとそうではありません。
いくつかできないこともあります。一番無理なのが
分子量が大きい化合物の同定
です。
何故かというと、GC/MSでは一番初めに、熱で物質を気化させる段階があるのですが、高沸点化合物の場合ものすごい熱をかけないと気化しません。
しかし、500℃などのものすごい温度で加熱すると、気化する前に“分解”が起こってしまうというジレンマがあります。
そのため、高分子をGC/MSで同定するのは困難です。
(分解物のGC/MSから全体像を推測する、という方法で解析します)

加えて、熱で容易に反応・分解してしまうような化合物もNGです。
(=そのような物質を“熱安定性が低い”物質と言います。)

GC/MSでできない物質

・揮発しない物質
・熱安定性が低い物質

GC/MSの欠点を補うには

GC/MSは最初に物質を揮発させねばならず、その段階での分解が問題となります。
そこで採用される方法が、LC/MSです。
LCとは液体クロマトグラフの略です。
GCはガスクロマログラフの略で、物質を気化させてガスにより移動させますが、LCは液体でカラムを移動させます。
つまり熱をかけるセクションがないため、気化しない高分子であったり、熱安定性の悪い物質を分析することができます。

GC/MSで分析できない物質は、LC/MSで分析できる可能性がある

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