酸塩基を学習していると《共役酸》やら《共役塩基》などのあまりなじみのない言葉が出ててくると思います。
この記事では共役酸・塩基とはどういう意味かを解説します。
『共役』とは何か?
一番わかりにくいのがこの『共役』という言葉の意味だと思います。
英語のconjugateを訳したものということであり、このconjugateというのは、【形容詞:1対の~】という感じの意味です。
つまり、共役酸(conjugate acid)というのは、『対になる酸』という意味になります。
『対になる』とはどういう意味?
酸と塩基はペアーである!
『対になる』と言われても何と対になるというのでしょうか。
ブレンステッドの酸・塩基を考えます。
ブレンステッドの定義において酸はH+を放出するもの、逆に塩基はH+を受け取るものです。
(共役酸とか共役塩基といった言葉はブレンステッドの酸・塩基で登場します)
上の反応式において、AHが酸であり、A–はH+を受けとった塩基ですが、AHとA–ってプロトンが付いたか離れたかだけの関係です。
AからプロトンがとれたものがA–であり、逆にA–とプロトンがくっついたのがAHなわけです。
そのためAHは『A–の共役酸』A–を『AHの共役塩基』と言うことで、互いの関係性を明示することができます。
このように共役○○というのは、プロトンがついたか離れたかという関係性を明示するための言葉です。
なので共役という言葉を使う時は、必ず『○○に対する共役酸』とか『○○に対する共役塩基』というようにペアーにして言います。
単独では意味を為さない言葉です。
共役酸・共役塩基の例
ブレンステッドの酸・塩基について、例を挙げて共役酸・共役塩基の関係を見ていきたいと思います。
例えば、①の酢酸の反応を見ると、CH3COOHがCH3COO–に対する共役酸で、CH3COO–がCH3COOHに対する共役塩基です。
②は、NH4+がNH3に対する共役酸で、NH3はNH4+に対する共役塩基です。
③も同じです。
まとめ
“共役”と言われると聞くと一瞬『?』となるかもしれませんが、『酸と塩基はペアーの関係にある』ということを思い出せれば大丈夫です。
○○の共役酸とか共役塩基といった言葉を聞くと、反射的に『酸と塩基はペアーだった』ということを思い出し、○○にプロトンがくっついた共役酸、あるいはプロトンが取れた共役塩基を頭の中に思い描きましょう。