化学の解説

E1反応とE2反応の違い(超分かり易く)

有機化学でお馴染みE1反応とE2反応。
2つの反応はそれぞれどう違うのか?
忘れてしまいがちなのでまとめました。

同じ点

E1反応もE2反応も脱離反応二重結合の生成という点で同じである。
ハロゲン(X)などの置換基とプロトン(H+)の脱離反応が起こった後に二重結合を生成する。

  • 2分子の脱離
  • 二重結合の生成

違う点

反応機構の違い

E1反応

E1反応は『まず1分子の脱離が起こって』、『そのあともう一分子脱離』して、二重結合を生成する。つまり2段階脱離である。

反応メカニズム
  • まず”ハロゲン”などの脱離しやすい置換基が自発的に脱離
  • 次に”水素”が塩基(求核剤)の攻撃によりプロトンとして脱離
  • 二重結合の生成

E2反応

E2反応は、『2分子が同時』に脱離する。

反応メカニズム
  • ”ハロゲン”などの脱離基と”プロトン”の脱離が、同時に起こる。
  • 二重結合の生成も同時に行われる。(軌道の再混成)

(プロトンの脱離は、E1反応と同じく塩基(求核剤)によるアタック)

軌道の再編成とは、sp3混成軌道からsp2混成軌道への組み換え
つまり、脱離基が1個ずつとれるか、2個同時に取れるかの違いが、E1反応とE2反応の大きな違いである。

現象として見られる違い

E1反応は第二級or第三級炭素に脱離基(ハロゲン等)が結合している場合のみ起こる

E1反応は、まずハロゲンなどの置換基の『1分子脱離』が先に起こる
つまり、カチオンが実際に短期の間、発生する。
そのため、E1反応は第二級あるいは第三級炭素に結合したハロゲンでのみ起こる。
というのは、知っての通りカルボカチオンは不安定であり、超共役などの安定化寄与がある場所でないと生じないためです。(超共役:電子の供与)

メチル基は隣の原子に対する電子供与性があります。
これを超共役と呼びます。
E2反応は第一級炭素でも起こる

E1反応と違い、E2反応は脱離基が第1級炭素結合型でも起こる。

なぜならE2反応ではカルボカチオンは発生しないため。
超共役で安定化する必要がないということですね。

しかしE1反応との違いは、立体化学である。
E2反応は、置換基と逆側(裏側)から求核剤が水素にアタックするため、できた化合物は立体選択性がある。

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