アジアの中では先進国としての自負の強い『日本』。
しかしよく知られた通り、その差は明らかに縮まってきており、中国相手ではGDPなどの経済規模では既に負けています。
そんな日本ですが理工系分野ではどうなのでしょうか?
日本の現状を中国と比較してみました。
«参考:週刊ダイヤモンド»
理工文系分野の論文数
理工系の強度の指標として『論文数』の大小はよく活用されます。
研究者の能力の指標の一つとしても評価される論文数ですが、日本と中国ではどうでしょうか。
週刊ダイヤモンドの調べでは、2004年時点で日本は理工系論文の数としては既に中国に抜かれています。
2016年において、中国は年間16万本の論文数を超え、世界でアメリカを抜き首位に位置しているのに対し、日本は年間約3.5万本と、大差をつけられています。
中国は2004年時点で年間約4万本だったにも関わらず、ここ十数年で驚異的な増加です。
理工系論文数(年) 中国16万本 > 日本3.5万本
研究者数
研究者数でも日本は中国に後れをとっています。
週刊ダイヤモンドによると、2000年時点では日本が74万人だったのに対し、中国は69.5万人と、この時点で日本は中国に勝っていました。
ところがその後逆転され、2015年時点では日本が38.8万人に対し、中国が161.9万人まで増えています。
政府による科学技術予算
科学技術にかける国の予算では、現時点で5倍以上もの大差をつけれらてしまっています。
2017年では中国が年間22兆円を超える予算であったのに対し、日本はというと年間4兆円弱です。
科学技術の発展に資金は必要不可欠なので、これは大きな問題です。
ノーベル賞受賞者数
これは日本に軍配があり、2000年以降日本人は自然科学分野で18名ものノーベル賞受賞者を輩出していますが、中国人は2015年の生理学・医学賞を受賞した屠呦呦ただ1人です。
しかし注意点は、これらのノーベル賞は日本における過去の遺産によるものであるということです。
日本は1990年代ぐらいまではまだ研究資金も豊富で、研究者も比較的余裕をもって研究に取り組めたと言われています。
ところが2000年代になって国立大学の法人化以降、国からの運営交付金の削減や研究者の雑務の増加などにより、研究力はかなり落ちたと言われています。
そのため、今後もどうようなペースでノーベル賞受賞者を輩出し続けることができるかどうかは、疑問符がつきます。
まとめ
これまではアジアの先進国として中国を含む他国を圧倒していた日本でしたが、現在では既に各種データで”大差”をつけて抜かされてしまっています。
ノーベル賞受賞者数で唯一勝っていますが、これは完全に過去の遺産による受賞なので安心できません。
恐らく今後も過去の遺産により日本人の理工系ノーベル賞受賞者は増えていくでしょうが、現実点での実質的な科学力では総合力で中国に追いつかれようとしています。
(まだ勝っていると思いますが。)
少子化にあえぐ日本は今後が本当の正念場です。