業界研究/企業分析

【業界研究】研究開発費の多い日本企業トップ10【ランキング2018年】

研究開発費の大きさは企業の企業の今後を占ううえで欠かせない情報です。
近年GAFA(Google, Amazon, Facebook, Apple)の躍進には目を見張るものがあり、研究開発費も膨大な額を投じています。
果てして日本企業はどうでしょうか?
この記事では2018年度にR&D支出の多かった日本企業TOP10をランキング形式で見ていきたいと思います。

1位:トヨタ自動車(1兆1千億円)

1兆1千億円

1位はトヨタ自動車の1兆1千億円です。
トヨタは年間1兆円以上を研究開発費に投じています。
国内で1兆円を超えるのはトヨタだけです。
さすが年間売上29兆円の巨大グローバル企業なだけあります。

トヨタの主な投資先は

  • 電気自動車(EV)
  • 燃料電自動車(FCV)
  • 自動運転(AI)

の3つです。
EVでは全固体電池の技術がトヨタでは注目で、FCVに関してはトヨタがブラックボックス的に技術を主導しています。
電気自動車燃料電池車という相反する2つのエコカーを両方とも全力で研究開発しているのが面白いです。
10年以上先の未来を見据えているんだなあ」という印象です。
因みにトヨタの燃料電池車のブランド名は『MIRAI(未来)』です。

燃料電池車(FCV)は技術的・インフラ的な課題も多く、一部の競合他社からは『”無駄”なことに金が出せてトヨタは余裕があるなあ』と思われてるとか。

自動運転などのAI技術も注目です。
トヨタは2016年にAI開発拠点をシリコンバレーに移し、1000億円以上を投資すると発表しています。
AI技術はGAFAの得意領域であり、トヨタとしても危機感をもって研究開発にあたっています。

自動車メーカーが世界のIT企業とガチでバトルしている構図

売上高に対するR&D支出割合:3.9%

2位:ホンダ(7860億円)

7860億円


2位も自動車メーカー
です。
トヨタには4000億円弱及びませんが、それでも8000億円近いR&D費用は流石です。
ホンダもトヨタと同様、

  • 電気自動車(EV)
  • 燃料電自動車(FCV)
  • 自動運転(AI)

に力を入れて開発を行っています。
EVとFCV分野ではGMなどのグルーバル企業と共同開発を行っています。

売上高に対するR&D支出割合:5.4%

3位:日産自動車(5100億円)

5100億円


国内第3位も自動車メーカー
です。
日本は自動車メーカーがいかに強いかがわかります。
トヨタのおよそ半分の研究開発費ですが、その額は5000億円を超えます。

日本の自動車メーカーは海外での売上も大きく、本当に日本の経済は自動車メーカーに支えられているのがわかります。というか”依存”しています。
(素材メーカーや鉄鋼メーカー、塗料メーカーなどの超大口顧客)

  • 電気自動車
  • 自動運転

の開発が注目です。

EV車には”リーフ”を販売、自動運転技術は”セレナ”に導入されてます。
一方、FCV(燃料電池車)開発は中断してしまいました。

それぐらいFCVは開発難度が高いです。

売上高に対するR&D支出割合:4.2%

4位:ソニー(4800億円)

研究開発としてはAI音声や画像などの様々なデジタル処理ロボットオーディオゲームなどの領域で行っています。

パソコンからの撤退、テレビやスマホ事業の縮小など、開発対象が変わってきました。
現在はゲームや半導体、金融などが収益の柱となっています。

売上高に対するR&D支出割合:6.0%

5位:パナソニック(4700億円)

IoTロボットエネルギーの3つが今後の開発の柱です。
従来の家電のみではなく、AI技術とロボットの融合や、次世代電池技術などの化学が関連するエネルギー領域でも開発を行います。

パナソニックは「IoT/ロボティクス領域」においては、人工知能(AI)、センシング、UI/UX(※)に注力していきます。また、「エネルギー領域」においては、蓄電、水素に注力していきます。 (パナソニックHP)

売上高に対するR&D支出割合:6.1%

6位:デンソー(4670億円)

トヨタとの結びつきが強い会社です。
売上高に占めるトヨタ比率は約5割です。
売上高に対するR&D支出割合:9.9%

7位:日立製作所(3470億円)

日立はデジタル技術の開発が優れています。
特にIoT分野での成長が著しく国内No.1です。
この分野で約1兆円の売り上げを創出しました。
GAFAのライバルになり得る企業です。
売上高に対するR&D支出割合:3.6%

8位:武田薬品工業(3400億円)

製薬メーカーはかなり研究開発費が必要です。
実際、武田薬品の対売上高R&D支出割合は18.8%にまで上ります。
新薬の開発にはお金が掛かります。

基本的に製薬メーカーは対売上高R&D支出割合は10%を超えます。

9位:キャノン(3300億円)

キャノンは誰もが知るデジタルカメラなどの光学機器メーカーですが、最近は開発の方向性を変化させてきています。
スマホなどの手軽で便利なモノも台頭してきた結果カメラ需要は頭打ちとなったため、医療用カメラなどの成長分野へと舵を切りました。

キャノンやニコンはデジカメなどのカメラ市場での成長は完全に見限っています。それは既に社長も認めています。
ニコンもそうですが、ヘルスケア分野や監視カメラなどに開発をシフトしています。
注目すべきなのがこれらの分野におけるAI技術との融合です。

対売上高R&D支出割合:8.1%

10位:東芝(3100億円)

IoT分野で日立に出遅れたと言われています。

対売上高R&D支出割合:6.0%

アマゾンとグーグルの研究開発費

一方、世界を見渡すとAmazonおよびGoogleの巨額の研究開発費が目立ちます。
Amazonはおよそ2兆5000億円でトヨタのなんと2倍以上。
Googleはおよそ1兆8000億円でトヨタの約1.5倍。
これら”ITジャイアント”は利益率もとてつもなく高く、潤沢な資金力を活かして次世代に向けて投資しています。
日本企業が生き残れるかはこの10年が正念場です。

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