大学の化学系の学生なら誰でも一度は就職先として検討する総合化学メーカー。
しかし総合化学メーカーとは何なのか?どういう特徴があるのか?について知らない人も多いはず。
そのため、この記事では総合化学メーカーについて紹介してみました。
大企業が多い
『総合』と名の付く通り、色々な技術開発を行っているため規模が大きい会社が殆どです。
具体的には年間売上数千億円から数兆円まで幅広く存在しています。
一応、基礎原料生産から最終製品やその部品の製造までを、一貫して行う企業を総合化学メーカーと呼ぶことが多いです。
三菱ケミカル、住友化学、三井化学、旭化成、東ソー、昭和電工、宇部興産、カネカ、デンカ、トクヤマなどが総合化学メーカーと呼ばれることが多いです。
※ ただし明確な定義があるわけではありません。
日本を代表するメーカー群であり、伝統のある会社ばかりで、財閥系も多いのが特徴です。
就職先としてかなり人気の企業が多いです。
事業範囲が広い
総合化学メーカーはとにかく事業領域が広いのも特徴です。
様々な事業
具体的には、最近はやりのリチウムイオンバッテリー関連の無機材料やエレクトロニクス材料の開発を行っていたり、機能性素材、プラスチック、機能性樹脂、農薬・医薬品、半導体、AIなど多種多様な領域をカバーしています。
なので幅広いバックグラウンドの人材が必要とされています。
例. 住友化学の部門一覧
- 石油化学部門
- エネルギー・機能材料部門
- 情報電子化学部門
- 健康・農業関連事業部門
- 医薬品部門
バリバリの化学系である『エネルギー・機能材料部門』から、バイオ出身者も活躍する『健康・農業関連事業部門』や『医薬品部門』など幅広い事業を展開しています。
石油化学プラント!
また、総合化学メーカーの特徴として、なんと自社で石油化学プラントを持っている場合が多いです。
例. 三菱ケミカル、住友化学、三井化学、東ソー、旭化成、昭和電工など
石油化学プラントで何を作っているかというと『基礎化学品』です。
例えばエチレンやプロピレンなどがそれにあたります。
これらは繊維の材料になったり、各種プラスチック、素材、医薬品などありとあらゆる製品の基礎原料となります。
2018年などは、様々な要因により、石油化学プラントをもつこれら総合化学メーカーは『過去最高益』を記録するなど、好調な収益を上げています。
年収・待遇
年収
キーエンスのようにめちゃめちゃ高収入という訳では無いですが、大企業ということもあり割と高収入な部類になります。
住友化学や三菱ケミカルで平均年収900万円ぐらいです。
東ソーなどのように超大手と比べて規模が小さくなると、平均年収も少し落ちますが、それでも700万円以上です。
待遇
総合化学メーカーは伝統的な企業が多く、すこし堅い社風のところが多いですが、激務ブラックという感じではなく、概して安定して働ける会社が多いと思います。加えて、リストラも比較的少ない印象です。
ただ国内電機メーカーや富士フィルムのように、突然収益が悪化して大規模なリストラが始める可能性も無いとは言いません。
異動などは?
部署の移動などはある場合がありますが、『研究開発から突然営業』というケースは稀です。
しかし大企業ですので、転勤は覚悟しなければなりません。
また、近年の三菱ケミカルのように、吸収・合併する場合があるので、大企業とは言え環境の変化も十分にあり得ます。
海外事業
近年の日本全体の動向として欠かせないのが、海外売上比率の増加です。
日本市場の縮小は確実なので、各社海外での収益を伸ばそうと必死です。
総合化学メーカーもそれは同じで、例えば住友化学はサウジアラビアに石油化学プラントを建設するなど行っています。
海外売上比率(全売上に対する海外での売上の割合)は、住友化学で約6割、三菱ケミカルや三井化学で約4割、旭化成で約3割となっていて、かなり海外の比重が高まってきています。
まとめ
- 総合化学メーカーはその名の通り、かなり幅広い事業を展開している。
- 石油化学プラントを持つ企業が多い。
- バイオ技術なども行っており、生物系のバックグラウンドも活かした働き方が可能。
- 年収も好待遇で安定している。
- 海外売上比率も上がってきている