国内の石油元売り大手3社であるENEOS、出光昭和シェル、コスモについて、21年度の業績を比較したいと思います。
21年度はコロナ禍、資源価格の高騰、脱炭素など、元売り各社にとっては非常に緊張感のある1年でした。
そんな元売り各社の去年1年の売上と営業利益、および営業利益率について見ていきます。
売上高のランキング
21年度の3社の売上を比較します。
ENEOSが最も規模が大きいことがわかります。
次に出光で最後にかなり差を開けられてコスモとなります。
営業利益のランキング
営業利益額のランキングは以下のようになります。
各社とも21年度はかなり利益を稼ぐことができました。
1つは在庫評価が主要因ですが、もう1つは資源です。
例えば、ENEOSは原油・天然ガスや銅の権益を保有しており、コスモは原油・天然ガス、出光は原油・天然ガスと石炭を保有しています。
それら資源価格が21年度は非常に高騰したため、各社利益を伸ばすことができました。
石炭は出光だけですね。
各社とも、もはや元売りとしての石油精製事業や、その後段の基礎化学品製造事業に関しては、規模の縮小と効率化にのみ注力している状況であり成長分野とは捉えていません。
では何で稼ぐ予定なのかというと、資源開発と再生可能エネルギーになります。
営業利益率のランキング
営業利益率は以下のようになります。
利益率のトップはENEOSではなくコスモであることに注目です。
コスモは製油所の規模を縮小して高稼働により利益率を上げる『ショートポジション戦略』を経営戦略で掲げていますが、それが奏功したということもあるかもしれません。
まとめ
石油元売り各社の業績について見ていきました。
21年度は最大手のENEOSが売上でも営業利益でもトップでした。
各社、原油価格高騰による在庫評価益や、原油や石炭、銅などの資源価格高騰による販売益、石油製品のマージン良化などにより、好業績を叩き出すことができました。
ただし、21年度はコロナ禍からの回復などかなり特殊な1年であったことは否めず、22年度は各社減収減益を見込んでいるようです。
脱炭素や再エネなど、事業の転換を迫られている石油元売りの今後が注目です。