石油化学業界は化学系の中でも好待遇に属しており、業務内容的にも我が国のエネルギー供給に関わる重要な仕事を行っています。
このような事情から、就活生や転職者にとって人気の業界となっています。
しかし、石油業界の仕事内容は少しわかりにくいところが多く、業界研究しにくいのが実際のところです。
そこでこの記事では、石油化学業界の会社がどのような業務(研究開発)を行っているのか紹介したいと思います。
Contents
石油化学業界の伝統的な研究テーマ
触媒に関わる研究テーマ
石油会社では従来から『触媒』の研究が盛んにおこなわれています。
理由は、石油会社で一番重要な業務である『ガソリン製造』や『脱硫』などで、触媒が大量に使用されるためです。
触媒の担当部署(研究)などがある会社もあります。
(ENEOS、出光、昭和シェル石油等、全ての石油化学(元売り)会社で触媒は重要。)
研究内容
『異性化触媒』『水素化脱硫触媒』『接触分解触媒』などについて、より高性能なものを開発するべく行われています。目的としては、
- より省エネルギーで効率的に働く触媒
- 高い耐久性を示す触媒
- 製造コストの安い触媒
などを開発することであり、製油所の利益を改善することです。
特に触媒は繰り返し使用するので、耐久性は非常に重要です。
・効率性や耐久性など『触媒』の性能は製油所の利益に直結する。
触媒の使用例
触媒は石油精製工程の各箇所で使用されています。
原油中から得られた重質ナフサを、触媒により化学反応(転位反応)させ、より高付加価値な製品であるガソリンに変える。
原油中に含まれる大量の『硫黄』成分を触媒により除去する。(原油中の硫黄は構造上取れにくいため。)
硫黄成分はそのままでは酸性雨となるなど環境に有害であるため除去が必要。
最近は『サルファーフリー』が世の中的に叫ばれており、ガソリン中に含まれる硫黄濃度の規制が進んでいる。(ppmオーダー)
接触分解(FCC)などと呼ばれますが、原油の精製過程で生じる『利用価値の低い重質な成分』を分解してガソリン成分にするのに使用されます。
これら成分は本来アスファルトなどにしか使えませんが、分解により利用価値の高いガソリンに変換されます。(石油会社の稼ぎ頭的な工程)
化学知識
いずれも触媒の次の2つの化学的役割を活用しています。
- 活性化エネルギーを下げる。
- ある特定の反応だけ進行させる。
これらの性質を利用して、ガソリン製造のコストを下げたり、異性化反応などの特殊な反応を可能にしています。
まとめ
触媒の利用は、石油会社の骨格をなす部分なので、既にある程度成熟している分野ではありますが、今後とも重要なテーマであり、また石油会社を語る上で『基本』と言える内容であります。
将来を見据えた研究
石油は将来的に『枯渇』すると考えられており、石油化学会社のようなエネルギー関連企業では、枯渇後の未来を見据えた代替エネルギーの研究も実は行われています。
特に業界1位のENEOSでは、さすが業界トップを走るだけあって代替エネルギー分野において積極的な研究開発を行っています。
セルロース系エタノール生産酵母
【概要】
二酸化炭素排出量削減にバイオエタノールが注目されていますが、一方で食糧との競合が指摘されている。
そこで、食糧には使用できない草木を使用したエタノールの開発に取り組んでいる。
しかしセルロース系の糖を利用するにはC6だけでなくC5糖も利用しなければなりません。
そこで発酵技術を使用して分解困難なC5をエタノールに分解する技術を研究している。
(ENEOSホームページを参照)
・食料と競合しないバイオエタノールの研究を行っている!
燃料電池の研究
【概要】
水素と酸素から電気を作るのが燃料電池である。
水素は製油所から出る副生成物を有効活用している。
燃料電池により従来より二酸化炭素の排出量を3~4割削減できる、家庭用燃料電池システムの開発・販売している。
また、水素貯蔵インフラの研究や、燃料電池向け水素製造技術の開発、電極の開発など、燃料電池自動車実用化に向けても様々な研究を積極的に行っている。
(ENEOSホームページを参照)
・燃料電池は『水素』と『酸素』を反応させて『水』しか発生させないクリーンな電池!水素ステーションの実現に向けて動いている。
植物油による軽油開発
【概要】
植物の油を軽油と同様な炭化水素に変換する研究を行っている。
カーボンニュートラルで地球に優しい燃焼の開発につながる。
カーボンニュートラルとは、二酸化炭素排出量がプラスマイナスゼロであることである。
軽油を燃焼させると当然二酸化炭素が発生するが、植物は自身で光合成をおこない二酸化炭素を吸収しているので植物由来の燃料は燃やしてもCO2排出量がトータルでプラスマイナスでゼロである。
現在はパーム油などを使用している。
自動車メーカーとの共同開発も行っている。
まとめ
石油化学会社は多岐に渡る研究を行っています。
石油精製工場で使う触媒などの研究から、代替燃料の研究、製油所で大量に発生する硫黄の再利用の研究や、潤滑油の研究、更には装置の化学シミュレーションの研究なども行っています。
研究規模としては『ENEOS』が最も大きく、特にこの会社はエネルギーに関わる研究のみならず、微生物合成や膜素材の研究なども行っており、研究の幅が広いと言えます。
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