業界研究/企業分析

【金属資源】総合商社の銅生産量まとめ

近年注目を集めている金属資源の1つ「」。
脱炭素に欠かせないEVや再エネに必要ということもあって、重要性はますます高まっています。(2021年5月に1万ドル/㌧の史上最高値を記録しました。)

そんな重要な資源である銅については、総合商社も多くの権益を保有しています。
この記事では総合商社の銅ビジネスについて見ていきます。

銅の需要

まずはの需要についておさらいしたいと思います。
下の図は英調査会社CRUの資料からの抜粋です。(日経新聞より)
銅の使用量は、2020年に30万㌧から2040年には400万㌧にまで拡大すると予想されています。実に10倍以上です。

日経新聞より
EV向け銅需要見通し2045年まで
銅需要の伸びが凄い!

特に、電気自動車(EV)ではこれまでのガソリン車の3~4倍の銅が使用されます。
省エネニーズの高まりとともに需要が高まるの資源が、銅です。

銅は脱炭素に欠かせない金属資源

総合商社の銅生産量

では次に総合商社(特に五大)の銅生産量について見ていきます。
最も生産量が多いのは、三菱商事です。

総合商社の銅生産量(2018~2020年度の3ヵ年平均)

銅生産量(2018~2020年度)
1位:三菱商事
2位:三井物産
3位:丸紅
4位:住友商事

各社この3年間だいたい同程度の銅生産量で、増減はあまりありません。
三菱商事が少し生産量が落ちているかな?という程度です。
(2018年度:24.9万㌧→2020年度:22.7万㌧)

伊藤忠に関しては銅生産量に関するデータはなしです。
一応企業ページには

非鉄分野では、自動車の軽量化ニーズで更なる需要の高まりが期待されるアルミ原料のトレードおよび事業投資を行っています。また、電気自動車の普及に欠かせない蓄電池や、水素の製造・利用を支える銅・ニッケル・プラチナといったベースメタル・レアメタルの開発および探鉱に取り組んでいます。 (金属資源分野)

という記載があるので、多少は権益を保有しているのかもしれません。
しかし、決算説明資料には銅に関する記載がないため、持っていたとしてもあまり多くはないでしょう。

営業利益に対する銅比率

次に銅ビジネスの”重み”について見ていきたいと思います。
総合商社が稼ぐ利益のうち、銅はどれくらい重要なのか?
利益に対する銅の貢献度を示したいと思います。
下のグラフは総合商社各社の利益に対する銅生産量の比較です。

2018年度データより
総合商社の純利益に対する銅比率1
純粋な銅販売による利益額が正確にわからないため、銅生産量÷純利益(万㌧/億円)で示しています。(2018年度)

御覧の通り、丸紅の銅比率が高いです。
三菱商事や三井物産を上回ります。
つまり、丸紅は利益に対する銅の貢献度が大きいことを示します。
今後、銅需要はますます伸びることを考えると、丸紅のアップサイドは大きいかもしれません。

実際、2022年度2Q決算では、丸紅のみ大幅に株価を伸ばしました。銅も含めた将来性を買われていると考えて間違いなと私は思います。

補足:資源の中での銅比率

上図は非資源も含めた利益全体に対する銅の割合を相対的に示したものですが、資源に限った場合になると、丸紅と住友商事の銅割合が一気に高まります。
特に丸紅の銅依存はなかなか驚異的です。

2018年度データより
総合商社の資源由来純利益に対する銅比率1
この分析を見ると、最近商社の中でもなぜ丸紅だけが特に買われているのか、わかる気がしますね。

各社の銅権益

三菱商事

三菱商事は銅の重要性をよくわかっていて、資源における中核の1つに位置付けています。

プロジェクト 所在国 年間生産能力
(100%出資)
三菱商事の
出資比率
Escondida チリ 120万㌧ 8.25%
Los Pelambres チリ 41万㌧ 5.00%
Anglo American Sur チリ 37万1千㌧ 20.40%
Antamina ペルー 38万1千㌧ 10.00%
Quellaveco(※1) ペルー 30万㌧ 40.00

実際、銅の生産量についても直近3年では生産量23.8万㌧あたりでしたが、22年度以降は32~37万㌧まで増産できる見通しです。

南米・ペルー共和国のケジャベコ銅鉱山は、約750万トン(銅分換算)の埋蔵量と30年の山命を見込む、世界最大規模の新規鉱山です。三菱商事は2012年に鉱山の権益18.1%を取得。2018年には持分権益を40%に引き上げ、英国資源メジャーのアングロ・アメリカン社と共同で鉱山開発に着手しました。2022年の生産開始に向けて開発を行っており、三菱商事の持分銅生産量は年間32~37万トン規模となる見込みです。(mc×me)

三井物産

プロジェクト 所在国 年間生産能力
(100%出資)
三井物産の
出資比率
Collahuasi チリ 69万4千㌧(※) 12.0%
Anglo Ameerican Sur チリ 35.3万㌧(※) 9.5%

(※)2020年1-12月の実績

丸紅

センチネラ銅鉱山(チリ)、アントコヤ銅鉱山(チリ)、ロスペランブレス銅鉱山(チリ)。

住友商事

モレンシー銅鉱山(米国)、セロベルデ銅鉱山(ペルー)、その他4か所。
ただし、シエラゴルダ銅鉱山(チリ)は、22年3月をもって売却予定。

三菱商事と三井物産の内容が多いのは、資源について詳しく公開してくれているからです。

各社の銅関連ニュース

三菱商事

古い銅山再生(日経記事2021年6月5日)

三菱商事は銅鉱山で銅の回収率を高める事業を世界で展開する。資源メジャーなど数社と組み、銅の含有量が低く破棄されてきた鉱石から銅を取り出す技術を持つ米新興企業に出資した。古くなった鉱山を有効活用し、需要拡大が見込まれる銅の安定供給を目指す。

三菱商事 再エネに2兆円投資(日経新聞2021年10月18日)

三菱商事は18日、2030年度までに脱炭素関連で2兆円を投資すると発表した。再生可能エネルギー、水素・アンモニア、銅など金属資源、天然ガスを重点分野と位置づけ、重点的に投資する。

金属資源は電気自動車(EV)に不可欠な銅事業を強化する。

まとめ

今後需要が見込まれる「」資源について、総合商社の動向をまとめてみました。
最も多く銅を生産しているのは、三菱商事です。

しかし意外にも、利益額における銅の貢献度が最も高いのは、丸紅です。
つまり今後、銅の価格が伸びると仮定すると、その恩恵を最も受けるのは、三菱商事でも三井物産でもなく、丸紅です。

各社ともに今後の投資意欲もあります。
銅資源にはとりわけ注目していることがわかります。
特に三菱商事は22年度からさっそく大幅に増産するので、楽しみです。
参考資料:日経新聞「〈グリーンメタルのいろは〉(1)銅 EVや再生エネ、用途広く

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