昨今、ESGの観点から批判を受け続けている石炭火力。
この記事ではそんな石炭火力発電を大手電力会社10社はどれくらい保有しているか。
加えて、石炭火力における非効率石炭火力(SUB-C,SC)はどれくらいの割合を占めるのか?について、発電量をベースにランキングを作成しました。
(2019年度実績)
石炭火力発電ランキング
石炭火力発電の割合
まずは石炭火力の割合が大きい大手電力会社についてです。
昨今は石炭火力から、再エネやLNGなど、よりクリーンな発電方法への移行が推奨されています。
現在、発電の方法として水力、原子力、LNG火力、地熱、風力、太陽光など色々な発電方法がありますが、その中でも石炭火力での発電割合が高い大手電力会社はどこか?について見ていきます。
ワースト1位 | 電源開発(J-POWER) |
ワースト2位 | 北陸電力 |
ワースト3位 | 北海道電力 |
ワースト4位 | 沖縄電力 |
ワースト5位 | 中国電力 |
ワースト6位 | 東北電力 |
ワースト7位 | 四国電力 |
ワースト8位 | 九州電力 |
ワースト9位 | JERA(東京・中部) |
ワースト10位 | 関西電力 |
ワースト1位は電源開発(J-POWER)でした。
全体の83.1%が石炭火力ということになっています。
SDGsの観点から、あまり褒められた実績ではないのもそうですが、昨今の一般炭価格の歴史的高騰によって経営を圧迫する懸念があります。
石炭火力発電量
割合の他、やはり発電の絶対量も重要なので見ていきます。
ワースト1位 | JERA(東京・中部) |
ワースト2位 | 電源開発(J-POWER) |
ワースト3位 | 東北電力 |
ワースト4位 | 九州電力 |
ワースト5位 | 中国電力 |
ワースト6位 | 北陸電力 |
ワースト7位 | 北海道電力 |
ワースト8位 | 関西電力 |
ワースト9位 | 四国電力 |
ワースト10位 | 沖縄電力 |
石炭火力について、発電量自体が最も大きいワースト1位はJERAで、J-POWERは2位でした。
JERAについては確かに石炭火力の発電量がかなり大きいですが、総発電量に占める割合としては21%とあまり大したことありません。
逆にJ-POWERは、石炭火力の占める割合が8割を超えていて、なおかつ石炭火力発電の絶対量も大きい、という状況になっていて反ESGとして見られても仕方ありません。
非効率石炭火力の占める割合
石炭火力発電において、非効率で環境負荷の大きい亜臨界圧(SUB-C)および臨界圧(SC)はできるだけ廃止しなければなりません。これらの発電方法が占める割合の大きい大手電力会社はどこでしょうか。
ワースト1位 | 沖縄電力 |
ワースト2位 | 北海道電力 |
ワースト3位 | 中国電力 |
ワースト4位 | 九州電力 |
ワースト5位 | 東北電力 |
ワースト6位 | 電源開発(J-POWER) |
ワースト7位 | 北陸電力 |
ワースト8位 | 四国電力 |
ワースト9位 | JERA(東京・中部) |
ワースト10位 | 関西電力 |
非効率石炭火力(SUB-CおよびSC)の占める割合が最も大きいワースト1位は沖縄電力でした。保有している石炭火力の全部がSUB-CもしくはSCということになります。
J-POWERは非効率型の保有割合については44.3%と全体の6番目であるので、この点は比較的優秀と言えます。
まとめ
大手電力会社10社の石炭火力発電について見ていきました。
ざっと見渡すと個人的には電源開発(J-POWER)の石炭火力の多さが目立つ結果になりました。
もちろんJ-POWER含め、各社SDGsの観点から様々な取り組みを行っていますし、実証試験もされています。
今後はより一層、アンモニアやバイオマスとの混焼や、CCUS技術、IGFC等の高効率石炭火力の導入を行い、石炭火力における環境性能向上に向けて努力して欲しいと思います。
非効率石炭火力の割合について、沖縄電力の100%は論外(?)ですが、全体で見ても平均が48%とまだまだ高めです。(各社の単純平均)
少なくとも超々臨界圧(USC)、可能ならIGCC等への移行、それが無理ならアンモニア等との混焼は必須でしょう。