昨今、地球温暖化や異常気象など世界的に環境問題が懸念されています。
しかし、アジア諸国の経済発展や人口増加など、環境悪化に歯止めがかからない状況となていっています。
また石油資源枯渇の問題も重大です。
そのため環境問題を解決し、次世代型のエネルギーに切り替えていくことは必要不可欠です。
そのようなクリーンエネルギーの開発により、環境問題を解決することは世界中で切望されており、今後もっとも成長の余地のある分野の一つであることは間違いありません。
この記事では、次世代型のクリーンなエネルギーの研究開発により、世の中に貢献できる企業をまとめています。
Contents
石油化学会社
石油化学などのエネルギー企業は、自動車メーカーなどと並びもっとも次世代型エネルギーの開発に取り組んでいる業界の一つです。
ENEOSを筆頭に、毎年多くの研究開発費を投入して次世代型エネルギーの開発に取り組んでいます。
という声が聞こえてきそうですが、この背景には
- ガソリン需要の低迷
- 石油の枯渇
があります。
ガソリン車の性能向上と電気自動車の登場により、ガソリン需要は年々減少してきています。(自動車会社と関連企業の努力)
近い将来、石油は間違いなく枯渇すると言われています。
新規の油田発掘や採掘能力の向上に伴い、すぐに枯渇することはないと言われていますが時間の問題と考えられています。
現在のところ、石油化学会社は利益も上げられていて体力もありますが、今後生き残っていくためには今のうちに次世代エネルギーの研究開発を行っていかなくてはならないのです。
石油化学会社が取り組んでいる次世代型エネルギーの開発
バイオマスエネルギーの開発
植物から燃料を取りだすバイオエタノールの研究開発を行っています。
バイオマスエネルギーとは、植物などから得られるエネルギー素材のことで、メタノールなどの燃料材料のことを言います。
植物由来なので、二酸化炭素排出がプラスマイナス0であることから環境負荷が小さいエネルギーです。
このバイオマスエネルギーの問題点は、トウモロコシなどの食料を利用しなけれならないことで、食料として必要な人の需要とバッティングすることでした。
そのため、草木などからエタノールを取り出す研究開発が行われています。
また、ENEOSでは2017年に『室蘭バイオマス発電所』の建設に着手しています。
(2020年稼働予定)
その他、植物から軽油を作るための技術開発も進んでおり、ディーゼル車を動かす計画もあります。
やはり食糧との兼ね合いが課題です。
・食糧を使用しないバイオマスエネルギーの開発が課題
・植物から軽油の開発(カーボンニュートラルな燃料)
・酵母などを使用することもあり生物系の知識が活かせる
水素製造技術の開発とインフラ整備
水素エネルギーは『化石燃料』を使用しないエネルギーであるので、将来大変期待されている次世代型エネルギーです。
トヨタが2020年前半までに燃料電池自動車を実用化させる予定であるなど、着実に水素社会は近づいてきています。
しかし、現在のところ水素を製造する段階でエネルギーを使用してしまうほか、水素の貯蔵技術や輸送技術の問題もあります。
そこで各社、触媒技術などを向上させることで常温での水素発生を可能にする取り組みや、水素インフラの整備に関する研究を行っています。
水素インフラの整備に関しては、国やトヨタなどの自動車会社と連携して取り組んでいます。
・水素発生に極力エネルギーを使用しない技術への取り組み
・水素ステーションなどのインフラ整備のコスト削減技術の模索
・水素発生の効率化を可能にする触媒技術が求められる。
・触媒など無機化学・電気化学の知識が活かせる。
電極素材の開発
石油精製の工程で発生するコークスを利用して炭素電極素材の開発も進んでいます。
電気自動車にはリチウムイオン電池が使用されていますが、その性能を決める重要な技術が負極材です。
この負極材に石油精製で生じるコークスを使用した素材を使用します。
コークスは石油精製で生じる『残り物』のようなもので大量に発生するため、有効活用できれば資源の無駄を無くすことができます。
分子の配向を制御するところが課題です。
『人造黒鉛』と呼ばれますが、日立化成などの化学メーカーも多数、開発において活躍しています。
自動車会社(及びその関連会社)
自動車会社も次世代型エネルギー普及のための取り組みを積極的に行っています。
理由の一つは自動車の環境への悪影響が大きいということ、もう一つは石油の枯渇によるガソリン価格高騰へのリスクヘッジなどがあります。
この辺は石油化学会社と関連しています。
電気自動車(EV)の開発
EV車は燃費がガソリン車よりも良いので環境負荷の小さい自動車です。
日産リーフが100%EV車を実用化させ、トヨタがハイブリッド車であるプリウスを国内で16万台(2017年)販売するなど、電気自動車の普及は既に浸透してきています。
それを支えているのは化学系の観点から見れば電池技術です。
特にリチウムイオン電池ですが、以下のような課題があります。
- 電池容量の増加
- 電池寿命の延長
- 安全性の向上
そのために、以下のような研究開発が行われています。
- 正極材および負極材の開発
- 電解質の開発
- 正極と負極を隔てるセパレータの開発
化学メーカー&石油化学メーカーと自動車会社の関わり
このようなリチウムイオン電池技術の開発には自動車メーカーだけでは到底不可能で、化学メーカーがかなり深く関わっています。
住友化学、住友金属鉱山、田中化学研究所、日本化学産業、カネカ、住友大阪セメント
日立化成、三菱ケミカル、昭和電工、日本カーボン
三井化学、宇部興産、三菱ケミカル、日油
旭化成、東レ、関東電化工業、ニッポン高度紙工業、セントラル硝子
(参考:産業と会社研究シリーズ 化学 2019年度版 化学産業研究会 など)
全固体電池の開発
まだまだ課題の多いリチウムイオン電池に変わる次世代型の電池として期待されているのが『全固体電池』であり、これはトヨタが主導で研究開発を行っています。
(東工大との共同研究など)
基本的に、全固体電池は充電速度や容量(=航続距離)などの面で、リチウムイオン電池の性能を上回るポテンシャルがあるとされています。
全固体電池に関してもやはり化学メーカー及び石油化学会社も深く関わっています。
(パナソニック、出光興産 etc)
全固体電池はトヨタが有名ですが、他の日産やホンダなどの自動車会社も取り組んでいます。
各社、まだいくつものブレークスルーが必要な段階ですが、実用化すればEV車の爆発的な普及が実現されそうです。
トヨタ、パナソニック、古河電池、日立造船、三井金属 etc
燃料電池車(FCV)の開発
燃料電池車とは、『水素』を発電に使用する自動車で、極めて環境負荷が小さいエネルギー手段です。
( H2 + O2 → H2O + エネルギー )
これもトヨタが主導で研究開発を行っています。
・二酸化炭素を輩出しない
・排出物は『水』のみ
・化石燃料を使用しない
・石油精製や鉄工所から出る副生成物でる水素を有効利用できる
この燃料電池技術の実現も、石油化学メーカー及び電池や触媒に関連する化学メーカーの役割が極めて大きいです。
理由は水素と酸素を反応させるときに使用する触媒技術や、電解質を隔てるセパレータの技術が電気自動車と同じく必要だからです。
注)燃料電池は自動車用だけでなく『家庭用』もあります。(給湯器など)
トヨタ、日産、ホンダ、ENEOS(旧JX日光日石エネルギー)、日清紡、パナソニック、アイシン精機 etc
素材開発
エネルギーを直接生み出すわけではないですが、素材開発も重要です。
一見、環境や省エネとは関連がなさそうな素材ですが、実はかなり関係しています。
一番の理由は『軽量化』による燃費向上が可能となることです。
自動車のみならず、航空機や新幹線の材料は、軽量化が求められています。
もちろん軽量化によって、燃費が向上するためです。
間接的ではありますが、『環境負荷低減』に大きく貢献しているのが素材メーカーの特徴です。
樹脂系素材
炭素繊維やアクリル繊維などが有名です。
既に『軽量』『強靭』という特徴を認められて自動車や飛行機の壁などに採用されています。
・軽量で強固な素材開発
・高分子素材の量産化
・コスト削減
・高分子化学の知識が必須
・その他、接着技術の知識なども必要
東レ、帝人、三菱ケミカル(旧三菱レイヨン)、旭化成 etc
金属系素材
炭素繊維などの『樹脂系』の素材が有名ですが、軽量鋼材などの金属素材も重要です。
自動車用の軽量素材はハイテンと呼ばれる高張力鋼が有名。
新日鉄住金、神戸製鋼
セルロースナノファイバー
とりわけ重要なのが、『セルロースナノファイバー(CNF)』です。
セルロースナノファイバーは木材や植物由来の繊維であり、非常に軽量で、なおかつ鉄の5倍以上も強度が強いという極めて優れた性能を持ちます。
加えて、カーボンニュートラルなのも特徴です。
そのため、既存の石油由来の製品であるプラスチックや繊維やゴムなどの材料を、置き換えてしまう可能性があります。
太陽光発電
環境に良いエネルギーの代表格である太陽光発電ですが、企業、国、大学が産官学連携して開発を進めています。
大学の研究は毎年かなり活発に行われている印象です。
また太陽光から『水素』を発生させる技術も『水素社会』の到来に向けて盛んに研究されています。
現在でも既に太陽光パネルが市販されていますが、今後の課題はやはり効率化です。
太陽光のエネルギーをいかにロスなく化学エネルギーに変えるか、この辺でやはり触媒技術が求められています。
現在は太陽光発電事業から撤退する企業も多いというのが現状です。
パナソニック、東芝、シャープ、三菱電機 etc
・触媒・電気化学の知識が必要。
まとめ
『環境負荷低減』『エコ』というキーワードは今後の世の中で確実に重要視されます。
環境問題への貢献が可能な研究職というのは、企業においても多数存在しており、その代表格が石油化学メーカーや自動車メーカーと言えます。
一方で、電気自動車や燃料電池などにしても、化学全般の基礎知識の蓄積が必須であり、電気化学、触媒化学、高分子化学、溶液論、分析化学、材料化学、生化学、有機化学、接着技術など多くの分野の技術が総合的に求められています。
なので、思ったより多くの化学領域で、環境問題解決に貢献できるかもしれません。
企業で本格的に低環境負荷製品の開発に貢献したい場合は、『石油化学メーカー』『自動車メーカー』『電池部品関連のメーカー』『素材メーカー』などが筆頭候補になります。
転職するならこのサイト
転職するなら、まずは大手転職斡旋会社を頼るのがベストです。
大手ほど、優良企業や大企業など様々な案件を持っており、マッチングにより希望に沿う最適な会社・職種を紹介してくれます。
おススメはエージェントに何でも相談できて評判の良い『リクルート』か『DODA』です。
再生エネルギーなどは、実際に企業がどのような募集をしているのか、正しくニーズを汲み取ることが重要です。
アベノミクスによる大企業優遇政策の恩恵を受けよ!
経験豊富なエージェントが、希望する職種などから会社とのマッチングなどを行ってくれます。エージェントに色々と相談できるところもポイント。転職業界でNo.1の実績。
評価 |
---|
リクルートにない大企業案件を調べたいときに有効。YAMAHAなどの案件あり。
評価 |
---|
エージェントはリクルートに分があると言われていますが、案件の多さには引けを取りません。
評価 |
---|