業界研究/企業分析

【業界研究】医薬品業界に参入した化学メーカー【製薬メーカー】

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近年、元々は医薬品分野に縁もゆかりもなかった多くの化学メーカーが製薬業界に参入しています。
例えば、カメラのフィルムで有名だった富士フィルムの医薬品業界参入がその良い例です。

化学メーカーはなぜ医薬品分野に参入したがるのでしょうか?
この記事では化学メーカーが医薬品業界に参入する理由と、実際に参入した企業をまとめました。

医薬品分野に参入する理由

総合化学メーカーや繊維メーカーを始め、多くの伝統的な大手化学メーカーが医薬品業界に参入していますが、それには大きく分けて3つ理由があります。

医薬品は利益率が高い

よく知られていることですが、医薬品は高収益であることが知られています。
例えば2016年の営業利益率データでは

  • アステラス製薬(19.9 %)
  • 田辺三菱製薬(22.2 %)
  • 塩野義製薬(31.9 %)
  • 小野薬品工業(29.5 %)
  • 参天製薬(16.3 %)
  • 久光製薬(18.0 %)

など、製薬メーカーは高収益企業が多いです。
これは医薬品の単価が高く設定されていることに起因しています。
とりわけ昨今は、医薬品分野の中でもより付加価値の高いバイオ薬品再生医療分野への参入意欲が高まっています。

医薬品は不況の影響を受けにくい

これもよく言われることですが、医薬品の売上は景気の動向に左右されにくいと言えます。
例えば、景気が悪くなり年収が下がっても、真っ先に削る先は嗜好品や電化製品などです。
健康や命に関わる部分を削る人はあまり居ません。

化学業界は、リーマンショックで大打撃を受けましたが、その反省から売上を一つに限定しない、経営の多角化を目指しているのも一つの理由です。

化学メーカーが参入しやすい

化学メーカーが開発している商品は、医薬品に応用可能なものが比較的多いと言われています。

創薬などは一種の合成化学ですので、高い技術力と人材を有する大手化学メーカーは、比較的参入しやすい業種だったと言えます。
伝統ある企業が多いので昔からの技術の蓄積や、高度な技術系人材を豊富に抱えることも強みです。

富士フイルムを始め、帝人旭化成など、様々な化学メーカーが医薬品分野に参入しました。

医薬品分野に参入した化学メーカー一覧

富士フイルム

医薬品に参入した化学メーカーの『パイオニア』的な存在。
富山化学工業の買収により医薬品事業に参入し、アルツハイマー治療薬がアメリカでヒットしたことが始まり。
現在も武田薬品から子会社である和光純薬を買収するなど、積極的な投資を行っています。
医療機器も開発しています。

売上(医薬品関連分野のみ)

4430億円 (2017年度)

注力分野

アルツハイマー治療薬
再生医療
バイオ医薬品

関連企業

富山化学工業
富士フイルム和光純薬
協和キリン富士フイルムバイオロジクス
富士フイルムファーマ
ジャパンティッシュエンジニアリング

帝人

帝人ファーマが医薬品分野の開発を行っている。
医療機器と医薬品の両方を開発。
『骨・関節』『呼吸器』『代謝・循環器』領域に関する医薬品開発を行っている。

売上(医薬品関連分野のみ)

1554億円 (2017年度)

注力分野

高尿酸結晶・痛風 「フェブリク」
骨粗しょう症 「ボナロン」
気道潤滑去痰剤 「ムコソルバン」

関連企業

帝人ファーマ

積水化学

積水メディカルという関連会社が主導している。
糖尿病薬や臨床検査薬などを研究・開発している。

臨床検査薬には化学メーカーの技術である、分離技術やクロマト技術、などを活用。

光学分割技術を応用した、アミノ酸医薬品原体の製造も行っています。

東レ

東レは医薬品(ヘルスケア)分野を、『重点育成・拡大事業』と成長戦略として捉えています。
医薬品だけでなく、医療機器の開発も行っています。

売上(医薬品関連分野のみ)

538億円 (2017年度)

注力分野

天然型インターフェロンベータ製剤 「フエロン」
末梢循環障害治療剤 「ドルナー」
経口そう痒症改善薬 「レミッチ」

旭化成

かなり積極的な医薬品の研究開発が行われている印象です。
ラインナップも豊富ですし、現在申請中の特許も国内・海外に数多くあります。

売上(医薬品関連分野のみ)

1357億円 (2017年度)

注力分野

血液凝固阻止剤 「リコモジュリン」
骨粗鬆症治療剤 「テリボン」「リクラスト」「エルシトニン」
排尿障害改善剤 「フリバス」
免疫抑制剤 「ブレディニン」
抗うつ剤 「トレドミン」
関節リウマチ剤 「ケブザラ」

関連企業

旭化成ファーマ

堺化学工業

中堅の総合化学メーカーである。
風邪薬の『改源』など、家庭用医薬品として有名なヒット商品も持つ。

売上(医薬品関連分野のみ)

89億円 (2017年度)

注力分野

X線バリウム造影剤(硫酸バリウム)
消化性潰瘍治療薬
食道静脈瘤硬化療法用剤
風邪薬 「改源」
喉スプレー

日東電工

高い技術力を活かして、『経皮吸収型』や『核酸医薬品』の開発を行っている。
その他、『医療用テープ』も積極的に開発している。
テープの『素材』や『接着』といった技術は化学メーカーの技術力が最も活かされる。
テープから薬剤を経皮吸収で浸透させる技術を有する。

売上(医薬品関連分野のみ)

309億円 (2017年度)

注力分野

虚血性心疾患治療用テープ製剤
喘息治療用テープ製剤
高血圧治療用テープ製剤
核酸医薬品(肝硬変治療薬)

日本化薬

元々は産業用火薬メーカーとして1916年に誕生しました。
しかし以外にも1945年頃には総合化学メーカーとなるべく、この頃から『医薬品』の開発に着手していました。
(アスピリンの販売)
現在は抗がん薬開発に強みを持つ企業に成長。
ジェネリック医薬品の開発も行う。

売上(医薬品関連分野のみ)

474億円 (2017年度)

注力分野

抗がん薬 (ブレオマイシン)

食品メーカー

化学メーカーではありませんが、食品メーカーからは明治製菓が抗うつ剤「デプロメール」や抗菌剤「メイアクト」を、味の素が腎不全患者向け栄養改善剤などを、研究開発しています。

医薬品原料を製造している化学メーカー

医薬品の『原料』となる化学物質を製造しているメーカーを紹介します。
受託されて製造している場合などもあります。

  • トクヤマ
  • カネカ
  • AGC
  • JSR
  • 有機合成薬品工業
  • 宇部興産
  • キューピー
  • 日産化学
  • 東洋紡
  • 大阪ソーダ
  • 堺化学工業
  • 日本化薬

トクヤマやカネカなど、伝統的な原料メーカーが多いです。
キューピーに関しては『医療用ヒアルロン酸』の製造を行っています。

AGCとJSRに関しては、核酸や微生物などを活用した『バイオ医薬品材料』の研究・開発および製造を行っています。

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