人工知能(AI)が盛んに研究されはじめている今、その技術は自動車の”自動運転”にも取り入れられようとしています。
しかしまだ様々な問題点を抱えると言う自動運転技術。
本当に安心して使えるでしょうか?
自動運転での死亡事故
現時点で自動運転を実用化するのは、残念ながらまだかなり危険であるという他ありません。
というのも、2018年3月に、アメリカのアリゾナ州で、自動運転車による初の死亡事故が起きてしまいました。
配車サービスの米ウーバーテクノロジーズが米アリゾナ州で試験運行していた自動運転車が18日夜、歩行者をはね死亡させていたことが明らかになった。
自動運転車が関係する交通事故はこれまでもあったものの、歩行者が犠牲になった事故は今回が初めてとみられている。
( BBC NEW JAPAN より引用 )
Our hearts go out to the victim’s family. We’re fully cooperating with @TempePolice and local authorities as they investigate this incident.
— Uber Comms (@Uber_Comms) March 19, 2018
また、なぜ事故が起きてしまったのか、現在調査中でまだ原因がわかっていません。
AIの問題点
加えて、人工知能(AI)の技術にも現時点でまだ問題点があると言われています。
AIの代表格とも言える『ディープラーニング』という技術は、人間の神経回路を模した方法で、非常に複雑なシステムとして知られています。
AIに膨大な数のデータを学習させることで、最適な解を見つけ出すというのがディープラーニング技術の特徴ですが、実はシステムが複雑すぎることにより、『何故、AIがその解を導き出したのか?』という部分が、完全にブラックボックスになっています。
つまり、人間にはその解の導出過程がわからないということです。
このことで、自動運転において少々問題があることが指摘されています。
途中でAIの振る舞いがおかしくなったときに、その原因がわからないという問題です。
自動運転でコンピューターがまちがった判断を下してしまうと、周囲の人たちや乗員の命にかかわります。
しかも、なぜまちがった判断を下したのかがわからず、修正もできないとなると大問題です。
ニュートラルネットワークなどの最近の高度なAIを運転の判断や操作の部分にそのまま利用するのは、現状ではむずかしいと思います。小木津武樹氏 「Newton ゼロからわかる人工知能」 P.21
画像認識の限界
また、現時点ではAIによる画像認識は問題点を抱えていると言われています。
(前略)
はじめて通る道でも正しく車線や標識などを認識して走る必要があり、現時点ではまだむずかしい技術です。Newton ゼロからわかる人工知能」 P.26
車で走行していると様々な状況に遭遇します。
例えば、標識が一部壊れていたり、障害物により道路の一部が覆われていたりすることはよくあると思います。
また、AIと言っても、まずはカメラにより周囲の状況をインプットしなければならないため、視界の状況によってはAIが誤判断する危険性があります。
人間なら経験的に判断できるところを、AIが完全に正しく認識できるかはインフラ整備も含めた今後の技術革新にかかっています。
インフラ整備:
センサーによる読み取りには限界があるので、「信号機の状況などを向こうから教えてくれる」といったことなど。
問題点ばかりでもない
とは言え、一口にAIと言ってもディープラーニングだけでなく、様々な手法があるほか、いつも同じルートを通るバスなどでは精確な画像認識が可能であるため、用途を限定すれば現段階でも技術的に問題ないとされています。
実際、2020年までに日本でも自動運転車が走り出す計画が、政府より発表されています。
(「官民ITS構想・ロードマップ2018」)
まとめ
ディープラーニングの問題点や、画像認識技術の問題により、『どんな道路でも自動運転で走れる』という訳にはいきませんが、バスなどの常に同じルートを走る自動車に限定すれば、技術的にはすでに問題のないレベルまで到達しています。
政府も自動運転技術の発達を支援している現在、日本での実用化はもうすぐそこまで迫っているでしょう。
今後の課題は、画像認識技術の向上とAIの信頼性の担保だと言えます。
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