AIやIoTを学んだ優秀な学生(や中途人材)は世界中で大人気です。
この記事では、メーカーなどの非IT企業における人事担当者やトップ経営者の発言なども参考に情報系人材の就活市場を考察します。
各業界における情報系人材需要
鉄鋼業界
鉄鋼とAI・IoTって全然関係ないように思うかもしれませんが、実は結構関係しています。
キーワードはプラントです。
鉄鋼メーカーは装置産業ですので、いかに効率よくプラントを運営するかが収益率に大きく影響してきます。
例えばプラントは大小関わらずよく操業がストップしますが、これによる損失は常に問題となっています。
しかしもはや現場での人間によるオペレーションには限界が来ているので、AIおよびIoT(AIoT)によるデジタルイノベーションが重要となってきています。
JFEスチール
質問)AIやデータサイエンスでは人材獲得競争が熾烈です。
JFE柿木社長)先進技術を持つ人材の中途採用を進めているが、現実は厳しい。
社内の技術系人材を再教育していく。年功型賃金を変えてきており、よりAI人材に傾斜することを検討しないといけない。(東洋経済 2020新春合併特大号)
石油化学業界
鉄鋼でAIやIoTが重要視されていると言うことは、同じく装置産業(プロセス産業)である石油化学企業にとっても重要です。
経済産業省も『スーパー認定』という制度を設定し石油化学業界へIoTの導入促進を促しています。
プラントの高経年化、高度な知見をもった熟練従業員の引退等、我が国の石油精製・石油化学事業者等を巡る課題に適切に対応していくためには、IoT・ビッグデータ等の活用、自社内の資格制度の構築といった高度なリスクアセスメントの実施等を通じて、事業者が自主保安の取組を一層高度化していくことが求められます。(経済産業省HP)
ENEOS
例えば、石油精製大手のENEOSはパートナーシップを結ぶと言う形で情報資源を獲得しています。
藤山 優一郎(執行役員中央技術研究所長)
この度は、Plug and Play Japanとパートナーシップ契約を締結できたことを大変喜ばしく思います。近年のデジタル革命の進展や社会ニーズの変化を好機と捉え、本プログラムを通じ、革新的なIoT技術やビジネスモデルを有する国内外のスタートアップ企業との連携を深めて参ります。さらに、スタートアップ企業とのトライアル検討の機会を増やすことで、弊社が日本で培ってきたエネルギー事業の経験との融合により、新たな価値創造にチャレンジしていきます。 (Plug and Play JapanのHP. 2019年5月)
食品業界
食品業界でもAIoT人材は要求されてます。
例えばカゴメも以下のように情報系学生の獲得を切望しています。
カゴメ
(最高人事責任者)有沢正人氏
企業が学生に求めるスキル・知識はここ数年で大きく変化しました。(中略) 新たな技術や電気・電子、またAI等の知識を持った方々も大歓迎です。
(スタディサプリ 大学の約束2019-2020)
カゴメが何にAIを使うのか?と思う方もいるかと思いますが、例えば「AIを使ったトマト加工品内の異物検出」などに使います。
電気
電機メーカーがAIoT人材を欲しがるのはごく当然のようになりつつありますが、NECのようなソフトウェア会社だけでなく、例えばキャノンのような元々はカメラメーカーであったような会社にも大きな需要があります。
キャノン
(人事部人事総括センター課長)橋本大介氏
メーカーでは理系出身者を積極採用していますが、中でもここ数年積極採用しているのがAIやIoTをアナンダ情報系の学生です。当社もこれらの分野に注力しており、情報系の学部・研究科を卒業した学生に入社して欲しいですね。
(スタディサプリ 大学の約束2019-2020)
保険
日本生命保険相互介会社
(人材開発部部長)今井孝之氏
採用に注力したいのは理系出身者。(中略) 2年前から資産運用とITの領域でもジョブ型採用を実施。またAIが入った営業職用端末の開発など、新しい領域の仕事の担い手も求めています。
(スタディサプリ 大学の約束2019-2020)
まとめ
情報系人材、特にAIやIoT(AIoT)に長けた人材は世界中で獲得競争が行われています。
これが一過性のブームに過ぎないのか、今後も続くのかどうかは分かりませんが、大学も急な定員増加などは不可能であり今後も情報系学生の市場価値は高止まりするでしょう。
NECがIT系の新卒に年収1,000万円を提示するなど、時代は確実に情報系です!