業界研究/企業分析

【就活・業界研究】国内石油メーカーのリスク!(ザックリ)

昨今、国内の石油メーカーには逆風が吹きまくっていますが、この記事ではそれらについてまとめたいと思います。
(石油メーカーってちょっと言葉的に微妙ですが、石油精製企業(石油元売り)のことです。)

石油メーカーへの6つのリスク

国内石油精製(元売り)メーカーはリスクの塊と言ってもよいぐらい多くのリスクに見舞われており、様々な観点から今後営業利益の大幅縮小を余儀なくされる可能性があります。

リスク①脱プラスチック

脱プラがかなり重大になってきています。
プラスチックは基本的に石油由来の原料を使用していますが、半永久的に分解されない石油由来のプラスチックに関して、海洋資源を汚染している事実が浮き彫りになっていることから欧州を中心に製造を見直す動きが活発化しています。

海洋生物がプラスチックを誤食する、あるいは小さくなったプラスチックの破片が体内に蓄積するなど。

それに対し、国内では三菱ケミカルやカネカなどが、生分解性プラスチックの研究開発を行っていて、来年ぐらいからセブンやスタバのストローにカネカの『PHBH』という生分解性プラスチックが使われるようになります。

欧州を中心に脱プラが加速しています。

リスク②バイオマスの普及

地球温暖化による脱石油の流れはとどまるところをしりません。
カーボンニュートラルと言われる、二酸化炭素濃度を増加させないエネルギーにその主流は移ろうとしています。
その代表例がバイオマスです。

現在はガソリンに価格面で負けているバイオマス(特にセルロース系バイオマス)ですが、国内ではNEDOが主導でバイオマスプリジェクトを行っているなど、決して石油メーカーにとっては予断を許さない状況だと思います。

企業としては日本製紙やAGC、宇部興産、三菱ケミカルなどの大手化学メーカーがバイオマス事業に参入しています。

リスク③低燃費車(ハイブリッド車)や再生可能エネルギーの普及

もう一つ環境面からのプレッシャーとして、ハイブリッド車をはじめとする低燃費自動車が販売台数を伸ばしています。
加えて、風量発電などの再生可能エネルギーの普及も欧州を中心に国策として広がってきており、脱ガソリンが加速しています。

そうなると、原油からガソリンを精製する石油元売りメーカーとしては、石油を精製する意味がなくなります。

リスク④シェールガス

シェールの開発が化石資源の寿命を300年近く伸ばしたことは有名ですが、エチレンなどの化学原料はシェールからでも作ることが出来ます。
ガソリンよりシェールの方が、コストメリットが出せるなら世界的にガソリンではなくシェールを処理する方向性に代わっていくでしょうが、日本の石油精製メーカーや総合化学メーカーの既存設備は、そのようなガスの処理には対応できません。

そうなると新規プラントを建造しなければなりませんが、とてもそんな大規模な投資できませんよね。

リスク⑤地政学的リスク

実は石油メーカーは地政学的リスクにも晒されています。
どういうことかと言うと、日本の原油は中東依存度が85%を超えているので、現在のアメリカとイランの関係悪化を見ても心配されるように、かりに中東で大規模な戦争が起こったら原油の調達先がなくなります。

例えば今日(2020/01/03)のニュース

イラン革命防衛隊の精鋭部隊「コッズ部隊」のトップ、カセム・ソレイマニ司令官が3日、イラク・バグダッドで米軍の空爆によって死亡した。米国防総省は、「大統領の指示」によって司令官を殺害したと認めた。ソレイマニ司令官は、イラン国内できわめて重要で人気の高い、英雄視される存在だった。 (BBC)

仮に中東で大規模な戦争が起こった場合、メキシコやロシアなど別の産油国からの大規模輸入に切り替える必要がありますが、そもそもそれほどの生産量は無いし、輸送コストなどもこれまで通りいかず、莫大なコスト損失を被ることは間違いありません。

リスク⑥中国や韓国に巨大なエチレンプラント建造

日本のエチレンプラントは設備が古いのとやや小型であるため、コスト競争でアジア諸国に後れを取るようになってきています。
実際、中国や韓国に巨大エチレンプラントが建造されているので、今後日本の石油精製メーカーや総合化学メーカーがエチレンで負けてしまうと、エチレンを輸入に頼るようになる他なく、石油精製メーカーとしてはもはや原油を精製してナフサを供給する意味がなくなります。

石油メーカーへの追い風は無いのか?

まとめてみると、国内石油精製メーカーは窮地に立たされていると言っても過言ではないことがわかりますが、一応”追い風”もないことはないです。

石油由来プラスチックは何だかんだ必要

脱プラの動きがあるのは間違いないですが、そこで使われる生分解性プラスチックは強度などの観点で問題があるのも事実です。

また、生分解性プラスチックにはリサイクルという考え方が抜け落ちており、基本的に一度作ったものはそれっきりの運命ですが、石油由来プラスチックは強度が強いので、何回でも繰り返し利用することが出来るメリットがあります。

つまり、住み分けは可能となる可能性があります。

統合を行っていはいる

日本の石油精製メーカーは確かに規模が劣る点などで、コスト競争力で敗北していますが、企業合併を行うことでシナジー効果の創出に励んでいます。

直近ではJXと東燃ゼネラルの合併によるENEOS(ENEOS)、また出光興産と昭和シェル石油の合併による出光昭和シェル。

合併により、少なくともガソリンの供給過剰はなくなってきています。

ガソリン価格が適正価格に落ち着いています。(=石油精製メーカーの利益率UP)

ガソリン需要が完全になくなることはない

電気自動車やハイブリッド車の普及年に関しては、色々と議論されている所ですがあと10年は少なくともガソリン車が主流と言う見通しが多いです。

まとめ

多少の追い風(?)があるとはいえ、やはり石油メーカーにはリスクがかなり多いのは認めざるを得ない事実です。
ENEOS(エネオス)など、石油精製メーカーは好待遇な会社が多いですが、この水準をいつまで維持できるかは不透明です。
今後、石油メーカーが勝ち残っていくためには、IoTの活用などでさらなるコスト競争力の向上を実現しつつ、環境問題にも配慮した企業活動が求められるでしょう。

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