総合商社

住友商事の23年以降は他商社比で少し心配

私も住友商事には期待していてポートフォリオの5~10%は保有していますが、三菱商事や丸紅などの他商社と比較すると、やや心配な面があります。
好業績を叩き出している住友商事の懸念点についておさらいしていきます。

ポートフォリオ

住友商事は22年度は非常に好業績が予想されています。
その要因は利益の30%程度を占める資源ビジネスの貢献が大きいですが、懸念点として住友商事は石炭事業の割合がかなり大きくなっています。
加えて、その石炭事業についても一般炭の割合が大きくなっています。

住友商事は、20年度実績で石炭生産量に占める79%が一般炭でした。これは他商社比で最も高い割合となっています。

一般炭はここ1年程、発電需要として大暴騰しており、本来は高品質品である原料炭の方が高価格ですが、一般炭の方が高いという異常事態になっていました。それほど、一般炭からの収益貢献が大きくなっていました。

石炭には主に原料炭と一般炭の2種類ありますが、原料炭は製鉄用で一般炭は発電用途です。環境への影響から一般炭の開発・販売については世界的に規制が入ろうとしています。

リスク

住友商事の一般炭事業については以下の2点の懸念点が存在します。

一般炭価格の下落

通常は高品質である原料炭の方が一般炭より価格は高いです。
いつまでこの歴史的な高騰が続くかわかりません。
ここ1か月は価格が大きく下落しており、元の状態に戻りつつあります。
仮に一般炭価格が元の水準に戻ると、他商社比で一般炭割合の高い住友商事の利益は悪化します。

下落要因としては世界経済の減速に加え、再エネや原子力の普及などが考えられます。

2030年に一般炭権益売却

次の懸念が、経営計画で一般炭権益の売却を宣言している点です。
環境への懸念などから、既に三菱商事などの他商社は一般炭からは撤退していますし、むしろ一般炭からの撤退は主流です。
(続けている方が珍しかった。だからこそ三菱商事や丸紅は一般炭バブルには乗れなかったのですが。)

住友商事はこれから売却する必要があり、良い買い取り手が現れない場合は足元を見られる可能性もあります。
一般炭以上に利益貢献してくれるビジネスがあるかどうかわからず、売却した後に何で稼ぐのかという点でリスクがあります。

結論

住友商事の資源ビジネスにおける石炭事業の貢献度の高さについて、他商社比での懸念点をおさらいしました。
内容としては一般炭価格の下落の懸念、および2030年までの権益売却という点で他商社にはないリスクが存在することに言及しました。
(双日にも実は当てはまりますが。)

とは言え、住友商事のビジネスは資源だけでもないですし、その資源も価格がこのまま高騰したままという状況も十分考えられるシナリオです。
加えて2030年までに一般炭を売却する場合でも、その資金をより有効な投資先に配分できれば当然ですが良いです。

なので住友商事も売却せずこのままホールドするのですが、常に懸念点についてはアンテナをはりリスクはとりすぎないようにしたいものです。

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