石油化学業界は日本のエネルギーを担う会社であり、日本で最も重要な業界の一つでもあります。
就活生・転職者にも人気で、好待遇な企業が多いのも特徴です。
しかし、ガソリン需要の減少など、石油化学業界にとって良くない兆候も見られます。
現在のところ、売上も順調で体力もある石油化学業界ですが、今後もこれは続くのでしょうか?
石油化学業界の状況
石油業界は危機的状況
石油化学業界は、将来的に業績の低迷の危機に瀕しています。
一番の理由は『ガソリン需要の低迷』です。
最近、低燃費ガソリン車や電気自動車、ハイブリッド車など、低燃費な自動車が明らかに増えてきました。
これまで『ガソリン』の製造で稼いできた製油所にとって、稼ぎ頭を失うことはそのまま利益の減少につながっています。
事実、JXと東燃の合併など、企業の統合がかなり進んでいますし、製油所の閉鎖も行われ規模の縮小が行われています。
ガソリンは利益率の高い商品です。各製油所が、重油からガソリンに変換する設備(FCCと言う)を持ってるほど。
このような時代の変化に対して、石油業界は生き残っていかなければなりません。
実際に、石油化学業界も、電気自動車などの『脱ガソリン』の流れを明確に『脅威』と捉えていて、様々な対策を行っています。
加えて、将来的な石油の枯渇も問題視されています。
石油化学業界の対策
次世代エネルギーの開発
石油化学が行っている対策の一つに、次世代型のエネルギーの開発があります。
化石燃料に変わるエネルギーの開発を、石油化学の会社が行っています。
代表的なのが、
- バイオマスエネルギーの利用
- 自然エネルギーの利用
- 水素の活用
です。
これら次世代型のエネルギーの開発をENEOSや出光興産、コスモ石油などの大手メーカーは実施しています。
石油化学企業の研究開発
では石油需要は今後なくなるか?
石油需要はなくならない
- ガソリン車がなくなるのはまだ先
- ジェット燃料は化石燃料を使用
この2点が主な理由
ガソリン車がなくなるのはまだ先
【予測】電気自動車(EV)が普及する可能性は?いつ?【問題点など】でも書きましたが、ガソリン車が電気自動車にすべて置き換わるのは、まだまだ先です。
バッテリー性能の大幅な向上、充電設備などのインフラ整備、再生エネルギーによる発電、など電気自動車の普及には様々な課題があります。
トヨタが2020年に全固体電池車の販売を行うと言っていますが、まだ『出すだけ』になるとの見方が一般的です。
加えて、燃料電池車の方も、様々な課題が残っています。(トヨタが主導で行っています。)
そのため、今後10年~20年間はガソリン車がなくなることはないと言われています。
ジェット燃料は化石燃料を使用
ジェット燃料に使用しているエネルギーは石油から得られるガソリンとよく似た成分ですが、これがその他のエネルギー源に置き換わることは今のところありません。
電気自動車の場合もバッテリー性能に苦労していますが、ジェット機だとバッテリーに求められる性能(容量や出力)は、自動車の比ではないというのが理由だと考えられます。
化石燃料はまだ必要
至る所に石油製品が使用
ガソリン車がまだ無くなるのは先のことであるのに加え、石油製品というのは日常生活の至る所に使用されています。
- ペットボトル
- 服の繊維素材
- 医薬品
- プラスチック製の製品全て
- タイヤなどのゴム etc
これらは全て石油が元々の原料として作られていますが、これら全てが突然に代替原料に置き換わるとは考えにくいと言えます。
さらに石油化学業界の中でも、これらの原料を作る工程を石化事業と言いますが、この石化事業はかなり売れ行きが好調です。
ガソリンの製造能力を落として、こちらに移すという考え方もあります。(ナフサの石化転換)
ただしこれらの石油製品も『セルロースナノファイバー』によって置き換えられ得る可能性があります。なので注意が必要です。
石油化学業界の将来は?
石油業界は生き残る
石油業界をめぐる状況は厳しいものがありますが、石油会社も将来を見据えてかなり活発な次世代エネルギーの研究を行っています。
自動車メーカーや電池メーカーなどとも共同研究を行ってるなど、『体力のある内に対策しておこう』という姿勢が感じられます。
またガソリンや石油製品全体の需要が突然ゼロになる可能性はかなり低いと言えるので、石油化学業界は今後も生き残るだろうと予想しています。
業界評価(10段階) | ★★★★★★★☆☆☆ (7点/10点満点中) |
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