環境に優しい次世代のエネルギーとして注目される燃料電池。
その実用化が最も期待されるのは自動車への搭載。
低炭素社会・地球温暖化の切り札として注目される燃料電池は、果たして本当に普及するのでしょうか。
燃料電池:(水素を燃料にしたクリーンな電池。水しか排出しない究極のエコ。)
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ポジティブニュース
トヨタが2020年以降に燃料電池車を実用化!!
トヨタは『2020年以降に燃料自動車(MIRAI)を量産する』と公式に明言しています。
(年間3万台)
燃料電池車(FCV)はトヨタが主導で開発しています。
世界的企業であるトヨタがここまで言うということは、それなりに技術的な目途が立っていると考えるのが自然でしょう。
ガソリン車と同程度の航続距離
既にMIRAI(トヨタの燃料電池車)は、ガソリン車と同程度である600kmの走行をクリアしています。
政府が水素社会の実現を主導
政府も国として水素社会の実現に乗り出しており、水素ステーション建造に補助金(年間約1千万円)を支援するなどしています。
加えて2040年までに本格的な水素供給システムの確立を目指します。
課題
インフラ整備
燃料電池には水素の供給が必要である。
自動車用水素ステーションは石油化学メーカー(ENEOS, 出光興産, コスモ石油 etc)と自動車メーカーの共同事業、及び国の政策として行っています。
しかし、水素ステーション建造コストは、従来のガソリンスタンドと比べて5倍程度費用が掛かるなど、大きな課題があります。
水素の安全性
水素は爆発性のある気体です。
なので安全管理が重要です。
一応、トヨタなどの自動車メーカーは『水素はすぐに大気中を拡散するので、考えられているような爆発事故は起きない』と言っていますが、災害はちょっとしたことから起こる傾向にあるため、100%鵜呑みにはできないでしょう。
水素供給はどうする
現状、考えられているのは製油所や製鉄所の副生成物として発生する水素を利用することですが、あくまで副生成物であるため安定供給ができません。
また全国的に燃料電池が普及するとなると製油所だけでは量的にも足りておらず、安定供給には技術革新が必要です。
EVの進化
電気自動車(EV)も技術的に進化を遂げています。
仮にEVの性能が劇的に向上すれば、燃料電池の役割が無くなる可能性があります。
それを『全固体電池』という電解質が固体の機能的に優れた電池に変えようという試みがなされています。
全固体電池も実はトヨタが主導で行っています。
まだ技術的ハードルが高いのが現状ですが、将来的に注目されている技術です。
電池技術のブレークスルー
燃料電池に使用されている白金触媒が非常に高価なこともあり、車体価格が700万円近くもします。
(補助金で500万円程度に落ち着きますが。)
また、燃費もそれほど良くないとされています。(ガソリン換算でリッター9.1 km 引用:舘内端「クルマの危機と未来」)
電池の性能強化は必須でしょう。
実は環境に良くない??
環境性能が謳い文句の燃料電池車ですが、現時点では環境に良くないと言われています。
現状、水素を作るのに化石燃料を燃やす必要があるため。
管理人の予想
燃料電池普及には20年以上かかる
『排出物が水しかない』という究極のエコである燃料電池ですが、実現はたやすくありません。
確かに、自動車業界の王者であるトヨタが主導していたり、国として水素社会の実現に乗り出すなど燃料電池の波は来ていると感じますが、水素インフラの整備や触媒技術の課題などのハードルが高いため、普及には相当時間を要すると思われます。
なおかつ、低燃費ガソリン車や電気自動車(EV)との競争もあり、燃料電池の普及はなかなか簡単にはいかないでしょう。
水素供給の問題、水素ステーションの問題、電池技術の問題などを総合的に考えると、燃料電池の実用化には最低20年はかかると予想します。