次世代のクリーンエネルギーとして期待される水素。
燃やすと二酸化炭素を排出する化石燃料に対して、水素発電では廃棄物は「水」だけ。
トヨタも投資する究極のクリーンエネルギーと称される水素。
SDGsの取り組みとして最も重要な脱炭素であり、最も期待される水素の利用。
これについてみていきます。
現在の水素製造方法
現在、水素の発生方法として利用されているのは化石資源由来であり、主に石油や石炭を利用しています。
例えば製油所ではナフサを加熱炉で熱分解したときに、水素が大量発生するのでそれを活用するなどしています。
参考資料:
エネルギーフロントランナーちば推進戦略(中間とりまとめ:省エネルギー編)平成19年2月
求められる製造方法
しかし当たり前ですが、クリーンエネルギーと言っているのに石油から作っていては何の意味もないわけです。
なので、化石燃料に頼らない水素の発電が必要ですが、これは水の電気分解で行われます。
2H2O → 2H2 + O2
水から水素を発生させるというクリーンさです。
ただし、電気分解で必要な電力は風力や太陽光など「再生可能エネルギー」でないと話になりません。電気分解に化石燃料使ったら本末転倒です。
なので、「再生可能エネルギーを電力として使用した水の電気分解」がクリーンな水素の製造方法として求められています。
価格差
しかし、現状では化石由来と比較し価格競争力といった点で劣ってしまっています。
化石由来: 約2ドル/kg
電気分解: 約6ドル/kg (出典:資源エネルギー庁年次報告 2019年)
つまり3倍です。3倍の差は当然大きいです。いくらSDGsと言っても、この価格差では化石燃料の使用に軍配が上がり、クリーンなエネルギーは実現しません。
なんとか、安価な電気分解で水素を製造する必要があります。
現在行われている技術的取り組み
とにかく電気分解の価格を下げなければいけません。
取り組みとしては、一つには政策による再生可能エネルギーによる発電の推進です。
例えばカリフォルニアでは大規模な太陽光発電システムの設置が行われ、電力価格が安くなっていっています。
もう一つは、電気分解に使用される「触媒」のアプローチです。
例えば、太陽光のみで直接電気分解できれば、かなりコストパフォーマンスの良いクリーンエネルギーですよね。
そのような研究開発が行われています。
まとめ
カーボンニュートラルな持続可能な社会を実現するうえで、絶対に必要な水素。
現在のところ、石油や石炭など化石資源から水素を取り出す方が安いという状況であり、求められる技術的ハードルは高いと言えます。
また、当然のことながら化石資源の需要が落ちれば、その分価格も下がるためなかなか完全な水素社会の到来というのは難しいかもしれません。
とは言え、持続可能な社会到来のためは、再生可能エネルギーによる安価な水素の製造は不可欠です。世界のトレンドであり、国策でもあるので今後も当然注目です。