大手総合商社である三菱商事が投資する今後の成長領域について、まとめます。
主要な成長分野(4つ)
①資源
銅
銅は自動車に多く使われているが、現在内燃機関から電気自動車(EV)への転換が進んでいる。EVは既存の自動車に比べて約4倍の銅が必要などと言われており、中長期で堅調と予想している。
三菱商事では、南米にケジャペコ鉱山などいくつか鉱山を保有している。
天然ガス
天然ガス(≒LNG)は石炭や石油に比べて環境負荷が小さいエネルギーというだけでなく、水素を取り出すことができ、さらにはその際にCCSやCCUなどで二酸化炭素を出さなくすることもできる。
北米カナダのLNGプロジェクトが楽しみ。
②再生可能エネルギー
オランダのENECO社を買収した。
日本ではまだまだ風力発電などが盛んではないが、ヨーロッパでは風力発電の技術と理解がある。
今後、日本でも風力発電がもっと取り入れられると考えられるし、現在入札も始まっている。時代を先取りできていると自負している。
その他、水素に関しても”千代田化工”,”三井物産”,”日本郵船”とともに取り組んでおり、実証実験も済んでいる。
アンモニアにも取り組んでいる。
ただし、再エネ関連はまだまだ収益の柱にはなっていない。これから。
(引用:千代田化工建設HPより)
③自動車
東南アジア、特に対インドネシアでの事業が足元で非常に好調であり、今後も重要なビジネスであり続ける。
④不動産
デジタル需要により、特にデータセンターなどが活躍する。
現状の強み
1,700を超える関連企業、国内外の色々なパートナーとの関係。
また、これまで三菱商事が積み上げてきた分散した、お客さんとの強いパイプを持った事業ポートフォリオ。資産の中で偏りがなく、キャッシュフローもしっかりしている。
その他
化石燃料のリスクについて?
ここ数年でESGの特にE(Environment)の波がきている。
電源に関して、風力、太陽光、地熱等、着実に比率が高まってくる。
一方、エネルギーの安定供給という観点からは、再エネだけではまだまだ時間がかかる。
その点から、化石資源の必要性はまだ続く。特に途上国や新興国などは、これから経済発展により需要が続く。
ただ、その中でもCO2の排出量によってカテゴリー分けが必要。
石炭は徐々になくなっていくだろう、次に石油。
ただし、天然ガスはまだまだ活躍する。
石炭の新規投資について
石炭については新規の投資はしない。
今行っているのは、以前から検討していたもの。
コロナの影響は?
変異株等、まだまだ影響を注視していかなければならないが、現状はコロナの影響は脱したと言える。
年間3,800億円の利益目標に対して、1Qでほぼ50%を達成している。
ただ繰り返しになるが、今後も予断は許さない。
印象
三菱商事はかなり脱炭素にも力をいれて取り組んでいる印象。
実際は石炭や石油権益からの収益が現状はかなり大きいが、将来を見据えて水素やアンモニア、風力などに取り組んでいる。
化石燃料も否定しているわけではなく、環境負荷の小さい天然ガスにはむしろ積極的に投資している。天然ガスは将来性が高く、三菱商事の個人投資家としてはこの判断は大いに歓迎している。
食品ロスの解決などにDXを取り入れようとしているが、こちらは収益化なども含めてまだまだこれからという印象。再エネもまだ収益化はこれから。
意外に自動車(いすゞ自動車、三菱自動車)の事業が東南アジアにて好調で収益寄与が大きい。
1,700を超える多数の関連会社との連携や、これまで培った洗練されたポートフォリオ、および人材が三菱商事の強み。
バフェット率いるバークシャーとは時々意見交換をしているが、相手のこともあるため詳細は控えるとのこと。
参考:個人投資家説明会