2022年度の3Q決算で、7大商社の業績が非常に好調なのが世間の関心を引いています。
円安、資源高と海外に多数のエネルギー資源や金属資源権益を保有する商社にとっては、追い風となりました。
問題は今後もこの業績が続くのかというところになるかと思います。
ここで、商社の中でも三菱商事だけは少なくとも2023年以降は有望だろうと思う理由について、定性的に説明します。
ポートフォリオの強み
三菱商事は資源権益を多数保有しています。
具体的には「銅」「原料炭」「鉄鉱石」「天然ガス」です。
そのどれもが将来有望と考えます。
銅
電気自動車や風力発電の進展ととも需要増がほぼ確実視されています。
三菱商事は日本企業で最も銅権益を有している企業でありこれが2023年以降最も期待される点です。(ペルーのケジャベコ鉱山の取得・操業開始により、2023年以降は住友金属鉱山を抜いて最も多く生産する日本企業になります。)
直近で価格も高騰しています。
原料炭
日本企業で最も生産しています。
中国のリオープンでさらなる価格上昇が期待されます。
直近で価格も上がってきております。
鉄鉱石
一時は価格が下落していましたが、底打ちし上昇してきました。
中国のリオープンでさらなる価格上昇が期待されます。
天然ガス
化石燃料の中では比較的クリーンで、脱炭素には欠かせない資源です。
直近では価格を下げていますが、将来有望な資源です。
加えてこれら資源による利益は円安の恩恵も受けます。
このまま円安が継続することは、三菱商事のビジネスにとってかなり追い風と言えます。
銅 | 原料炭 | 一般炭 | 鉄鉱石 | 天然ガス | 原油 | |
三菱商事 | ◎ | ◎ | × | ◎ | ◎ | △ |
期待値 | ◎ | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | ◎ |
データ
銅生産量比較
銅は電気伝導度が高い性質から、電気自動車(EV)などに多用され、また風力発電などの再エネの進展に伴って電線として使用される重要な資源です。
参考
他商社の状況についても見てみます。
伊藤忠商事
保有する資源権益は石炭と鉄鉱石だけと言っても過言ではない。
住友商事
保有する権益としてはいろいろ持っていますが、特に石炭の割合が比較的高く、その石炭も原料炭だけでなくコロナ以降高騰が続いている一般炭も多く持っており、悪くないと言えます。とはいえ、石炭市況に左右される危うさも持ち合わせています。
丸紅
純利益に占める銅比率が高いため、有望と言えます。原料炭も多いです。
三菱商事に匹敵する期待値を有していると考えます。
三井物産
資源割合が高いことが言わずと知れると思いますが、鉄鉱石の生産量が大きく、ここがこけると業績に響く危うさがあります。
ただし三井物産も銅や石炭、原油など多様な資源権益を持っていますので、資源高が継続すれば相変わらず強いと考えられます。
双日
石炭と鉄鉱石がメインです。石炭は原料炭と一般炭の両方を保有しています。
レアメタルにも力を入れていますが、それほど収益インパクトはありません。
豊田通商
資源はリチウムだけですが、リチウムはバッテリー原料として有望なので、大崩れすることはなさそうです。
まとめ
三菱商事の来期以降の業績について考えを述べました。
三菱商事は銅の生産量が日本企業でNo.1の見通しなど、将来性のある資源権益をダントツのボリュームで保有しており、今後の業績も期待できると考えます。
他の総合商社も期待値は高いと考えますが、その中でも三菱商事は最も安定性と将来性がある企業ではないかと思います。
2023年度も継続して好業績を叩き出すと予想します。