化学の解説

【化学】液体をいくら温めても沸点以上の温度にならない理由

化学

液体を温め続けたらどうなるかわかるでしょうか?
温度がどこまでも上がっていくでしょうか?

そんなことないですね。誰もが水の沸点は100℃であることを知っていると思います。

しかし、加熱し続けたらいつか100℃を超えることもあったりりないでしょうか?
沸点を超えることがあってもたまにはいいのでは!?
この記事では液体の温度沸点について化学的に説明したいと思います。

水は100℃以上にはならない!

まずは結論から述べたいと思います。
水はいくら加熱しても100℃以上にはなりません!!
水をいくらマグマのような高温長時間加熱し続けても、決して100℃を超えることはないのです。
(※ 100℃は1気圧の場合)

水は絶対に100℃より大きくはならない

でも何故?
不思議ではないでしょうか?
なぜ、水に熱エネルギーを与え続けているのになぜ温度は上がらないのでしょうか。
そのエネルギーは一体どこに消えてしまったのか!?

温度とはそもそも何か

ものが熱いとか冷たいとかってどういうことなんでしょうか?
熱いものと冷たいものって本質的に何が違うのでしょうか?

その答えは『分子の運動』です。

実はものが熱いとか冷たいとかいうのは、本質的にはものを構成する分子がそれだけ激しく運動しているかによって決まるのです。

結構意外ではないでしょうか?
ものの温度分子の運動って、全然違う物理現象に思えて、実は両者は本質的に同等なのです。

ちなみに絶対零度(-273.15℃)では、分子は完全に止まっています。(=温度が最も低い)

温度が高い = 分子運動が活発!
温度が低い = 分子の動きが鈍い!

液体を温め続けるとどうなるか

水などの液体を温めるとどうなるかというと、その液体を構成する分子は活発に運動します。
熱を与えれば与えるほど、分子は活発に運動し液体の温度が上がっていきます。

熱い = 分子運動が活発

です。
しかし、いくらでも温度が上がるわけではありません。
ちょうど沸点で温度の上昇は止まります。
それは何故でしょうか?

液体が気体になる

液体は活発になりすぎると、液体状態を保っていられず気体になってしまいます。
分子運動が活発になりすぎてある一定のレベルを超えると、気体になって外に飛び出してしまうのです。
後述しますが、液体のときに存在していた水素結合などの引力が、分子の活発な運動により断ち切られてしますからです。その結果気体になるのです。

つまり液体にはその一定以下のエネルギーを持った分子しかいません。

それが液体が沸点以上には絶対にならない理由です。

ここまでのまとめ

・温度とはすなわち分子運動である
・液体を加熱すると分子運動が活発になり温度が上がる
・しかしある一定以上活発になると気体になって液体から飛び出してしまう
・液体にはそれ以下のエネルギーを持った分子しかいないので、沸点以上の温度にはなれない

液体と気体って何?どこが違うの?

そもそも液体と気体って化学的に見て、それぞれ何が違うのでしょうか?
そもそも液体とか気体って何?と疑問に思う人もたくさんいると思います。

普通に考えて、ある温度を境にして一気に性質が変わるのは不思議だと思います。
ちなみにこのように性質が一気に変わることを相転移と言います。

水を例にとってこの相転移について説明したいと思います。

液体の水とは?

簡単にいえば、液体の水は集合物で、気体の水(分子)は単独です。
水というのは化学式H2Oで表わされる分子の集合体ですが、液体の水は分子が単独で動いているのではなく、ある程度周りの水分子と相互作用し合いながら運動しています。
その力の大部分は水素結合と呼ばれる化学的な相互作用の力なのですが、言って見れば水分子は一つで完結した存在ではなく、周囲の水分子とセットになって一つという感じです。

気体の場合は?

気体の場合、水分子は周囲の水分子とは完全に独立した存在になっており、水分子同士の相互作用というのがありません!
液体の場合、距離的に近いこともあり、水分子同士に必ず水素結合などの引力が働いていましたが、気体の場合は互いの水分子との距離も遠く、相互作用ができないのです。
そのため気体の分子というのは周囲に束縛されることなく、自由に運動することができます。

沸点の意味とは?

沸点とは「液体から気体になる温度」という説明しか理解していなかった人も多かったと思いますが、もう少し化学的にミクロに見ると、

液体の水分子が周囲の水素結合などの相互作用を断ち切るために必要な温度

と、言うことができます。
水分子が周囲から完全に独立するためには、引力を断ち切るためのエネルギーが必要です。
温度が上がって、水分子が活発に動き回ってちょうど周りからの引力を断ち切るほど動き回る時の温度が100℃なのです。
分子が力強く暴れまわったら、周囲からの引力なんて関係なくなるというのは、何となくイメージできるのではないでしょうか?

ちなみに100℃という切りが良い数字である理由は、「水が沸騰するこの時の温度を100℃としよう」と、昔の人が勝手に決めたからです。
そこが基準となって温度が決まりました。

まとめ

・熱により分子は活発に運動する = 活発に運動する分子は熱い
・温度を上げると分子は活発に運動する
・液体分子は必ず周りの分子と相互作用している
・一定以上に活発に運動する液体分子は、相互作用を断ち切り気体になる
・液体には一定以上活発に運動する分子がいないため温度が沸点以上にはならない

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