業界研究/企業分析

【就活研究】セルロースナノファイバー(CNF)が注目されているのはナゼ?【企業】

セルロースナノファイバーが注目されているワケ

セルロースナノファイバーは国が国策として活用を推し進めようとするなど、徐々に注目が増してきています。
企業が積極的に研究開発を行っていたり、論文数も右肩上がりで上昇するなど、今後の社会を担う存在に間違いなくなってきそうです。
そのようなセルロースナノファイバーですので、化学メーカーを志望する人にとっては、間違いなく知っておかなければならない技術の一つです。
しかし、なぜセルロースナノファイバーはこれほど注目されてきているのでしょうか?
簡単にまとめました。

セルロースナノファイバーが注目されているワケ

セルロースナノファイバーは年々注目度を増し、様々な企業や大学が研究に乗り出しています。
以下は東レリサーチ(株)から抜粋したセルロースナノファイバー関連の論文数です。

セルロースナノファイバー論文数(東レリサーチから抜粋)
(引用:東レリサーチ(株))

このように、特に2009年頃から右肩上がりに急激に注目されていることがわかります。
特に自動車産業や医薬品関連、製紙関連で顕著です。
なぜセルロースナノファイバーはこれほどまでに注目される材料なのでしょうか。

セルロースナノファイバーの特徴

セルロース構造式
セルロースナノファイバーには以下のような特徴があります。

  1. 軽量でかつ強度が強い
  2. 植物由来で環境に優しい(カーボンニュートラル、低炭素社会)
  3. 木材資源を有効活用できる
  4. 石油製品の代替となり得る

具体的に見ていきましょう。

①軽量でかつ強度が強い

セルロースナノファイバーの一番重要な性質が、この軽量で強度が強いという性質です。
具体的には鉄の1/5の重量で7~8倍もの強度があります。
このような性質から『自動車メーカー』などで低燃費の切り札として積極的に利用が検討されています。

②植物由来で環境に優しい(カーボンニュートラル、低炭素社会)

昨今、地球温暖化などの懸念から二酸化炭素排出が問題となっています。
既存のプラスチックやゴム、繊維などは燃やすと二酸化炭素が排出されてしまいます。
しかし、セルロースナノファイバーは植物由来であるため、カーボンニュートラルであり二酸化炭素が実質増えません!
どういうことかというと、植物の場合、セルロース繊維の材料がもともと空気中にあった二酸化炭素なので、燃やしても二酸化炭素が出ても元通りに戻るだけ。
つまりプラスマイナス0なので問題なわけです。

③木材資源を有効活用できる

セルロースナノファイバーは木材から作られていますが、日本は国土の7割が森林で大量のCNF資源が存在します。
木材は植えればまた育てることが出来るので、林業の活性化にもつながります。
加えて、『廃材』が活用できます!
木材住宅の解体ででてきた廃棄物や工場廃材などの『要らなくなった木材』を有効活用できる点も魅力です!

④石油製品の代替となり得る

既存のプラスチックや繊維やゴムなどは全て石油由来の製品です。
石油が枯渇すれば当然作れなくなりますし、二酸化炭素排出による環境への悪影響も計り知れません。
一方で、セルロースナノファイバーはというと木材由来ですので、枯渇の心配も環境への悪影響もあまり心配がありません
石油は国際情勢によっても価格が上げ下げし不安定であるため、そのリスクヘッジとして安定供給可能なセルロースナノファイバーの役割が期待されています。

注目すべき業界

 

製紙業界

一番重要な業界は『製紙業界』です。
理由は、木材からセルロースナノファイバーを取り出す事業は日本製紙や王子製紙などの製紙メーカーが主導で行っているからです。
木材を輸入し、処理を行ってセルロースナノファイバーにするという技術はそれ自体が重要です。
加えて、『透明な紙』などのセルロースナノファイバー由来の『紙』を作る技術も開発しています。
(日本製紙、王子製紙、大王製紙 etc)

木材からCNFを製造する技術

高分子化学(繊維 & 樹脂)業界

次に繊維や樹脂などの『高分子』を扱う業界です。
セルロースナノファイバーは『高分子』であり、既存の石油由来の繊維やプラスチックなどを置き換える存在になる可能性を秘めています。
そのためには、セルロースナノファイバーの構造精密制御などの技術革新が必要ですが、そこでこれまで繊維開発のノウハウのある繊維業界が注目しています。
(東レ、旭化成 etc)

CNFは次世代型の繊維

自動車業界

『自動車産業』も非常に重要です。
セルロースナノファイバーの『軽くて強い』という性質は、直接的に自動車の燃費性能向上に役立ちます。
そのため、セルロースナノファイバーの活用に非常に前向きなのはこの自動車業界であり、実際に使用されたりしています。
自動車部品との馴染みやすさ(接着しやすさ)などの向上や、さらなる軽量化などの研究が活発に行われています。

自動車部品との馴染みやすさが鍵

その他

その他、家電メーカーや建材メーカーなど、セルロースナノファイバーの軽くて強いという性質を利用した材料利用が研究されています。
またゴムやタイヤなどのメーカーも同様の理由で利用の検討を行っています。
加えて、シューズの部材、フィルム、包装材、おむつ、インク etc などへの利用も大学や企業の間で行われています。

さらに、意外にも医薬品業界で『生体適合性』という観点でセルロースナノファイバーが研究されたり、電子部品などの無機材料への添加も研究されています。
(CNFの熱膨張率の低さが絶縁材として利用価値が高いなどの理由から)

セルロースナノファイバーは軽くて強いという性質以外にも、密度が高い、透明度が高い、金属の吸着、増粘効果などの様々な性質を持つ。

今後の予想

CNF利用は今後爆発的に増加する

  • 国(環境省)も政策としてCNFの活用に力を入れている
  • 論文数も右肩上がり
  • 環境に優しく性能も抜群

などの理由からCNFの利用は10年以内に爆発的に増えると予想しています。
実際に実用化も進んでいるので、社会に浸透するのも時間の問題かと思います。
紙の使用量減少により収益が悪化している製紙業界にとってCNFは福音となるかもしれませんね。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です