日本人なら誰もが知るカメラメーカーのオリンパスですが、最近は医療機器分野に注力しており、好業績を上げています。
2018年は前年を3%上回る売上となり、好調であるかに見えました。
ところが・・
米国での内視鏡訴訟
オリンパスに大打撃を与える事件が起きました。
それが米国での«集団感染訴訟»です。
オリンパスの内視鏡を使って手術をした患者190人以上が病原菌に感染し、訴訟に発展しました。
オリンパス製の十二指腸内視鏡を使用した患者が集団で薬剤耐性菌に感染してしまい、それによって亡くなった方も居られる事件です。
その原因と考えられたのが、”洗浄しにくい”内視鏡の構造でした。
洗浄しにくい構造であったため減菌が十分になされず、薬剤耐性菌が出現してしまった可能性が指摘されました。
オリンパスは医療用器具メーカーとして世界でも大手企業に成長し、売上の5割弱を内視鏡関連で上げています。
そんなオリンパスに逆風が吹いたのが、米国での「集団訴訟」でした。
オリンパスは完全には集団感染の原因については自社の責任を認めていませんが、既に”課徴金”は支払っており、その額は97億円にも上りました。
課徴金:米国司法当局への報告が遅れたことに対する罰金
粉飾決算による和解金
加えて、粉飾決算による株価下落に対する訴訟による和解金もありました。
2011年に発覚した巨額の損失隠し(=粉飾決算)による株価暴落(約50%の下落)し、その結果大きな損失を被った株主らが、オリンパスに対して集団訴訟した事件で、結局のところ原告に190億円の和解金を支払うことになりました。
カメラ関連の生産設備再編
カメラ市場の縮小により、生産設備の再編を余儀なくされた結果、費用として58億円を計上しました。
中国の子会社の訴訟
その他にも、中国の子会社に対する訴訟でも38億円の引当金を計上しています。(=損失)
売上増にもかかわらず減益
これら4つの損失の結果、2018年度の売上は、前年より3%増が見込まれるにもかかわらず、最終収益は前年から-13%の260億円(黒字)となる見通しです。
前年の純損益:+298億円
今年の純損益:+260億円
“営業利益”は前年よりも約70億円増だったのですが・・
まとめ
このように、今年は訴訟関連などの出費が多く、オリンパスとしては多額の出費を伴いました。
米国での集団感染訴訟でもわかる通り、医療分野への参入は大きな”リスク”があります。
売上の8割を医療分野に支えられるオリンパスにとっては、今後も要注意なファクターです。
とは言え、訴訟関連の損失も片付き、膿を出し切ったとも言えることから、来年以降は大きな増益が期待されます。