業界研究/企業分析

【企業研究】阪急阪神ホールディングスの事業ポートフォリオと業績の分析(2020年度)

阪急阪神ホールディングスの事業ポートフォリオとコロナ禍で苦しんだ2020年度の業績をまとめていきます。
主力事業は都市交通不動産事業ですが、都市交通は大きくコロナの影響を受けました。
何とか営業利益は20.7億円の黒字をギリギリ維持しましたが、特損により当期純利益は367億円赤字に転落しました。

概要

阪急阪神ホールディングスの事業ポートフォリオは以下のようになっています。

事業 内容
都市交通事業 阪急電車と阪神電車。
不動産事業 ブランド住宅「ジオ」の販売、オフィスビル・商業施設・物流施設など。海外も。
エンタテインメント事業 阪神タイガース、宝塚歌劇団の運営など。
情報・通信事業 交通システム、放送・通信事業など。
旅行事業 国内および海外のツアーなど。
国際輸送事業 国際的な航空輸送、海上輸送など。
ホテル事業 「新阪急ホテル(営業停止予定)」「宝塚ホテル」「レムプラス」など。
その他 建設業等。

よく知られているように、基幹事業は阪急電車などの「都市交通」です。それが今はコロナ禍で大ダメージを受けています。
その他、「不動産事業」も都市交通に続く主力事業で、「エンタテイメント」が少し離れてそれらに続きます。

よく勘違いされますが、阪急百貨店や阪神百貨店、阪急オアシスなどの商業施設は阪急阪神HDの事業ではなく、「エイチ・ツー・オーリテイリング株式会社」のものです。
ただし、両者は全く無関係ではもちろんなく、例えば阪急阪神HDのCEO角和夫氏は、エイチ・ツー・オーリテイリングの取締役を兼務しています。

阪急阪神HDは意外にも「情報・通信事業」や「国際輸送事業」も行っています。

ホテルや旅行も苦しんでいるので、ポートフォリオの大部分はしんどい状況ですが、「国際輸送事業」だけは大幅な増益となっていて、全体に占める額は少ないながらも決算を下支えしました。

阪急阪神という地方の私鉄会社ながら、意外にもグローバルな物流事業も展開しているのです。

セグメント別業績

今期(2020年度)

阪急阪神HD_事業ポートフォリオ_2020年損益不動産事業にかなり支えられています。
国際輸送事業も貢献してくれましたが、額としては少ないため全体に対する影響は軽微にとどまっています。

昨期からの推移

阪急阪神HD_事業ポートフォリオ_2019→2020営業損益推移
通常時に関しては、都市交通不動産事業が阪急阪神HDの2大柱であることがわかります。阪神タイガースや宝塚といったエンターテイメント事業も大きいですが、あくまで補佐的な位置づけとなっています。あるいはブランド戦略的な一面もあるでしょうか。
旅行事業に関しては昨期から赤字であり、コロナ前からかなり不振にあえいでいました。

参考(営業損益推移)

事業 182期 (億円) 183期 (億円)
都市交通事業 400.7 -51.1
不動産事業 415.0 289.2
エンタテインメント事業 117.0 -22.6
情報・通信事業 56.0 55.6
旅行事業 2.3 -74.0
国際輸送事業 1.7 23.1
ホテル事業 -31.4 -179.3
その他 23.8 18.8

事業の進捗状況

2018年度から2021年度までを計画期間とする中期経営計画に関しては、新型コロナウイルスによる影響で全く不可能な状況に陥ったということです。
(それまではおおむね想定通りに進捗していたとのこと。)

今後の戦略

ホテル跡地の有効活用

大阪梅田エリアの大阪新阪急ホテル、千里中央エリアの千里阪急ホテルの有効活用を実施。

具体的には、大阪新阪急ホテルにつきましては、建物の老朽化が進み、かねてから近いうちに営業を終了することを検討しておりました。代替施設としては近隣地に同規模のホテル阪急レスパイア大阪が開業し、さらには来春に梅田一丁目一番地計画が竣工することから、2024年度末頃に同ホテルの営業を終了し、次の大規模プロジェクトとして跡地の高度利用を検討してまいります。

コロナ以前から廃業を検討していたとのこと。大阪梅田の一等地にオフィスビル、あるいはタワーマンションでも建てるのかな?

加えて、千里阪急ホテルにつきましても、建物の老朽化が進んでいることから2025年度末頃に営業を終了することといたしましたが、現在、同ホテルの隣の街区である千里中央駅前地区で進められている再整備計画の内容や進捗等をみながら、跡地開発について検討してまいります。

千里阪急ホテルに関しても同様に廃業および跡地の高度利用を計画とのこと。
リアルとデジタルの融合

DXにも取り組むとのこと。

さらに、コロナ禍をきっかけとした新しい社会経済環境(ニューノーマル時代)の到来に向け、それに必要な取組を各事業で推し進めていくことといたします。具体的には、業務の効率化・省電力化や生産性の向上等によってコストの抑制を図ることで既存事業の強化を図るとともに、グループを挙げてDX(デジタル・トランスフォーメーション)への対応に注力し、リアルとデジタルを両輪とした事業展開を実現させることで、持続的な成長を目指してまいります。

デジタルによるコスト削減等にはぜひ取り組んでもらいたいが、かといって強みであるリアルの良さを消す結果にはならないでいただきたいと思います。

まとめ

阪急阪神ホールディングスの2020年度の事業ポートフォリオと業績についてまとめました。

阪急阪神の稼ぎ頭は都市交通不動産事業の2つで、次に阪神タイガースや宝塚といったエンタテインメントが来ますが、不動産以外はコロナの影響を大きく受け赤字に転落しました。
事業全体でh,不動産と国際輸送、および情報通信事業が、利益を下支えしてくれたという結果になりました。

2021年度は、都市交通やエンターテイメントも戻ってくるでしょうから、アフターコロナとして爆発力に期待したいところです。

2020年度は確かにコロナという不可抗力に近い災害が起こったので、事業不振も仕方ないと思います。しかし今年度はコロナの言い訳は通用しません。都市交通、旅行、ホテルなど立て直しが迫られると思います。

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