環境・エネルギー

アンモニア発電の意義と問題点をザックリ

世界中でクリーンエネルギー、脱炭素の流れが来ているのは明白です。
日本も2050年までに100%カーボンニュートラルを掲げています。
その1つの解が「アンモニア発電」です。
その意義と問題点、および将来性について考えたいと思います。

アンモニア発電の意義

アンモニア発電はクリーンな発電方法の1つです。
発電時に二酸化炭素が発生しません。

日本政府はSDGsの観点から2050年までに100%カーボンニュートラルを掲げていますので、実現すればそれを達成できる可能性が高まります。

また実証試験もクリアーしていて、実際に今すぐ利用を開始することも可能です。

同じようなクリーンな発電に「水素発電」がありますが、アンモニア発電には水素発電にはない、いくつかのメリットがあります。

メリット①既存の石炭発電に混ぜて使用できる

アンモニア発電の良いところは、既存のプラントに混ぜて使えるということです。

石炭火力発電が日本ではまだまだ主流ですが、その燃焼容器の中に、アンモニアを数10%加えて、混焼させることが可能です。

100%すべて再生可能エネルギーにするのが本当は理想ですが、まずはちょっとずつ変えていくというのが、一番社会的にも負荷の少ない、また世間的な理解も得やすい方法ではないでしょうか。

メリット②輸送が楽

もう一つのメリットは輸送が簡単な点です。
水素は蒸気圧が非常に軽い気体であるので、輸送に適した形態である液体になおすには非常に大きなエネルギーが必要ですが、アンモニアは8.5気圧程度をかけるだけで大丈夫です。

また、すでにアンモニアは工業的に使われていますので、輸送方法が確立しています。

メリット③安全性が高い

アンモニアは水素よりも揮発性が低く液体にしやすいので、取り扱いが安全です。

水素の場合、非常に高圧にしないと液化しないため、衝撃などで爆発の危険があります。
また水素自体に爆発性があります。

爆発の危険性が高い水素と比較して、アンモニアは取り扱いが容易です。

なぜ液化させる必要があるのかというと、気体ではエネルギー密度が小さいからです。
液体にするとその分、単位体積当たりのモル数が増えるのでエネルギー密度も上がります。
一番いいのは固体です。まあ直感的にわかりますね。

運用におけるハードルが水素単独よりも低いと考えられています。

アンモニア発電の問題点

しかしアンモニア発電にも様々な問題があります。
それも、かなり本質的な問題です。

アンモニアを作ること自体に電力が必要

アンモニア発電自体はクリーンですが、そのアンモニアを作るのに電力が必要なのです。

アンモニアは自然界にもともと存在しているのではなく、ハーバー・ボッシュ法という方法で人工的に作ります。
この方法は400–600 °C、200–1000atmという高温・高圧で行う必要があり、かなりエネルギーコストがかかります。

価格が上がると産業での利用が難しいというのと、そもそもこの時にめちゃくちゃCO2が発生してるので全然クリーンな発電じゃないじゃんということになります。

水素の供給がエコじゃない

アンモニアの合成に使う水素は、LNGなどから供給しています。
LNGは液化天然ガスですので、普通の化石燃料よりは相対的にクリーンではありますが、それでも当然二酸化炭素は排出します。

また、完全に二酸化炭素の排出を抑えようとすると、「水の電気分解」を活用することになりますが、やはりその段階で電力が必要となります。

他にも、”燃焼時にNOx(含窒素化合物)が発生する”、”アンモニアが人体に毒性がある”などの問題点があります。

アンモニア発電の将来性は?

アンモニア発電は将来的に実用化されるのでしょうか?

今のところやはりアンモニアを作る時のエネルギーがネックになっていて本来的な意味でのクリーンエネルギーにはなれていません。
実際、発電大手のJ-POWER(電源開発)はESG投資から外されているようで株価も直近で大きく下落しており、将来性があるとは評価されてないように見受けられます。

J-POWERの株価推移(10年間)
J-POWERの株価(10年)
アンモニア混焼が大規模で実現可能なら、ESG投資の対象となり株価が上がるはずです。ここまで下がっている点を見るとそうは評価されていないようです。

既存の火力発電プラントが使用できる点はバイオマス発電も同じですが、全てをバイオマスにすることは到底不可能です。
また水素発電も問題点が多いのが現状。
なのでアンモニア発電には期待されるところも大きいです。

アンモニアはやはりLNGから水素を供給するなどが妥協点かなと思いますが、水の電気分解からの水素供給も将来的には可能性はあります。
風力などで、需要があまりない夜間などにおいて、余った電力を用いて水の電気分解を行うなどの方法も検討されています。

やはりアンモニア発電単独ということではなく、風力や水力などの再生可能エネルギーと組み合わせて、全体として発展するという方向性が望ましいと思います。

クリーンエネルギーは、バイオマスにしても水素にしてもどれも一長一短で1つですべて補うのは困難なのが現状です。
そういう総合的な観点で考えると、J-POWERの株価低迷とは裏腹に、アンモニア発電も1つのパーツとして将来的に活躍する可能性は高いと思います。

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