世界的にエネルギー資源の価格が高騰しています。
脱炭素政策により、石油や石炭などの上流資源への投資資金が引き上げられ、供給が需要に追い付いていないことが要因の1つとされています。
特に、石炭価格の高騰が非常に顕著です。2020年初旬から約4倍も値上がりしています。
電力会社や消費者側は悲鳴を上げていますが、逆に供給側は活況を満喫しています。
というわけで、この記事では石炭鉱山権益を保有し、石炭価格高騰の恩恵を受ける企業を紹介します。
Contents
石炭鉱山(権益)を保有する会社
この記事では石炭生産量の多い国内企業を紹介します。
生産量順位(予想) | 企業名 |
1位 | 三菱商事 |
2位 | 出光興産 |
3位 | 三井物産 |
4位 | 伊藤忠商事 |
5位 | 双日 |
6位 | 住友商事 |
7位 | 丸紅 |
8位 | 三井松島HD |
9位 | 住石HD |
※ただし三井松島HDは23年度に石炭上流ビジネスから撤退方針(権益延長の断念)
総合商社
日本で最も石炭権益を保有する会社は総合商社です。
総合商社大手5社(+双日)は、原料炭を中心に大規模な石炭権益を保有しています。
特に三菱商事は突出しています。
2020年度の石炭生産量
- 三菱商事:3,170万㌧/年
- 三井物産:1,120万㌧/年
- 伊藤忠商事:非開示。(しかし2019年は950万㌧/年)
- 双日:600~700万㌧/年
- 丸紅:585万㌧/年
- 住友商事:440万㌧/年
参考資料
三菱商事の石炭生産量が、圧倒的であることがわかると思います。
総合商社大手5社+双日は、石炭価格インフレによってかなり恩恵を受けることになります。
石油元売り
石油元売り大手の出光興産も石炭権益を保有しています。
オーストラリアとインドネシアの鉱山で、年間生産量は1270万t程度となっています。
石炭種は決算説明資料より一般炭がメインと考えられます。
参考資料
その他
三井松島ホールディングス
有名な個人投資家である井村俊哉氏が5%超の大量保有を行ったことで、一気に知れ渡りました。 石炭生産量は年間45万㌧(2020年度実績)です。
もともと炭鉱の会社で、石炭関連の売上が約6割です。
今は非炭鉱ビジネスに力を入れており、売上の4割程度が石炭と全く関係ない事業からの収益です。
・石炭生産量 (2020年度実績)
- ・一般炭:41万㌧
- ・非微粘結炭:4万㌧
ただし、三井松島は数年以内に石炭事業から撤退する方針なので注意が必要です。
住石ホールディングス
オーストラリアの炭鉱会社であるワンボ社に出資しています。
21年度はワイボ社から21億2,800万円程度の配当金を得ています。
20年度はコロナショックによる石炭価格下落により無配。19年度は9億円程度の配当)
補足
日本コークスは、石炭の上流権益は保有していません。
製鉄用コークスは石炭(原料炭)を原料に作られますが、日本コークスは海外から原料炭を購入してコークスを製造しています。
まとめ
日本企業で、石炭権益を保有する会社をまとめました。
総合商社はたくさんの権益を保有していることがわかってもらえたかと思います。
石炭関連で売上げ規模的に重要なのは、総合商社大手5社(三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅)、および双日、三井松島ホールディングスの7社ぐらいかと思います。
石炭関連株としてポートフォリオに加えるなら、三菱商事が無難ではないでしょうか。
今後の動向
「脱炭素」の流れで、世界的に石炭採掘ビジネスからの脱却が進んでいます。
三菱商事は既に一般炭から完全撤退しており、伊藤忠商事も23年には完全撤退予定です。
(参考:伊藤忠、豪州の石炭権益縮小 脱炭素を加速)
三井物産、住友商事、双日、三井松島はまだ一般炭も保有していますが、段階的に削減していくことでは一致しています。
そのような流れの中で、逆説的ではありますが、石炭資源は今後も需要>供給の流れは続きそうで、石炭権益保有会社の活況が期待されそうです。
特に三菱商事は石炭権益(原料炭)を大量に保有しており、大きな収益が期待されます。