石油化学業界は伝統のある大企業が多いのですが、化学系の学生にすらあまり知られていない印象があります。
この業界は給料や福利厚生などの待遇も良いので、化学系の学生なら詳しく知っといて損はないと思いますよ!
就活生や転職者のために石油化学業界の会社についてまとめています
Contents
石油化学業界とは(概要)
石油化学の業界研究
石油化学業界はとても広いです。石油化学業界の中で一番のメインはと言ったらENEOSなどの『石油元売り(=石油精製)』企業ですが、その他にも原油の採掘などを行っている企業や、ゴムや樹脂の原料であるモノマーを作っている企業、ゴムや樹脂そのものを作っている企業など、上流から下流まで多くの企業があります。
この業界は薄利多売と言われており、国からも収益性の改善が叫ばれています。化学業界の利益率が8%程度であるのに対して、石油化学業界は数%程度しかなく、特に石油元売り事業の利益率は低いと言われています。
高利益率ではありませんが、売り上げが大きく、日本のエネルギーを支えている企業であり、社員の給料や福利厚生などの待遇は抜群ですので、就活生や転職者に人気があります。
石油業界の上流から下流
石油業界の流れはこのようになっています。
- 石油開発(原油などの採掘)
- 石油精製(原油からガソリンやナフサを精製)
- 石油化学/基礎(ナフサを利用してエチレンなどのモノマーを製造)
- 石油化学/誘導(モノマーを原料としてプラスチックやゴムを製造)
さらにもっと下流には、プラスチックを加工するメーカーや、医薬品メーカー、タイヤメーカーなどもあります。
通常、これらは石油化学には含めません。
①石油開発
意外かもしれませんが、日本でも原油や天然ガスの採掘がおこなわれています。
意外かもしれませんが、日本も数%は石油を自給(日本国内で採れた原油を使用して供給)しています。
石油開発系の企業は、日本での採掘のみならず、アジアや南米などで活動を行っています。
英語力は必須と言えます。
国際石油開発帝石(INPEX), 石油資源開発(JAPEX), 三井石油開発(MOECO)
②石油精製
石油化学業界のメイン業務である、石油を精製する工程です。
方法としては、海外からタンカーで原油を買ってきて、それを巨大な設備で蒸留します。
原油には本当に色々な物質が含まれていて、ガソリンを取り出すのがこの工程の一番の目的ですが、それだけでなくアスファルトの原料だったり、軽油や灯油、化学品原料など色々な化学物質が採れますので、全て有効活用しています。
エコカーとして水素自動車の到来が議論されていますが、それに使われる水素に石油精製で発生する水素が使われることが検討されています。
キーワード:石油元売り, 常圧蒸留塔, ガソリン, 薄利多売
ENEOS, 出光興産, コスモ石油, 昭和シェル石油
③石油化学/基礎品
石油精製で得た原料を元に、エチレンやトルエンなどの化学基礎品を作る産業です。
(原料:ナフサ)
エチレンなどの基礎化学品は、プラスチックやゴム、さらには医薬品などの原料として使われます。
プラスチックや医薬品など、原油が無ければ作ることが困難な製品です。
シェール革命の打撃を食らっているのがココの分野で、従来原油からしか採れなかったエチレンがシェールガスから採れるようになり、エチレンの価格が大幅(1/10程度)に下がることが懸念されています。
ENEOS, 出光興産, 昭和電工, 三菱ケミカル, 東ソー, 旭化成ケミカルズ, 住友化学, 三井化学, 丸善石油化学
キーワード:エチレンプラント, ナフサ, シェールガス, モノマー
④石油化学/誘導品
エチレンやプロピレンなどからプラスチックや合成ゴムを作る産業です。
おむつの原料となる吸水性ポリマーを作っている日本触媒や、美ら海水族館の分厚いガラスの原料であるメタクリル樹脂を作っている住友化学などが有名。
キーワード:ポリマー, メタクリル樹脂, アクリル樹脂, プラスチック
住友化学, 旭化成ケミカルズ, JNC, 三菱ケミカル, 東ソー, 日本触媒, 三井化学
主な仕事内容
現場
プラントの操業を中心に行います。
会社内の様々な部署や、外部の業者と協力しながら安定操業を一番の目的に行っています。
現場の方々はプラントを吹き飛ばしたら終わりなので、非常に神経を使って仕事にあたっておられます。
しかし、近年でも日本触媒でアクリル酸プラントの爆発や、東ソーでの塩ビモノマープラントが爆発などがあるなど、事故が起こってしまっているのも事実です。
研究
研究の人は、新規エネルギーの開発や触媒の効率化、操業トラブル回避方法の探索などを行っています。
新規エネルギーというのは、例えば、水素エネルギー/バイオ燃料電池などの次世代エネルギーのことを指します。
石油会社であるにも関わらず、これらの研究開発は積極的に行われています。
つまり、石油が枯渇した後の未来を見据えた研究を行っていると言えます。
石油化学プラントで触媒の活用は不可欠です。
高効率で劣化しにくい触媒は、常に求められています。
他には潤滑油の開発も相当力を入れて行われています。(クリーンな自動車のエンジンオイルなど)
全般的に、『次世代』『環境』というキーワードに注目です。
(新エネルギー、燃費向上、サルファーフリー、二酸炭素排出量削減,など)
石油化学業界の市場規模・平均年収など
・製造品出荷額:11兆円
・従業員数:9万人
・平均年収:796万円
《参考》化学業界全体
・製造品出荷額:44兆円(業界第2位)
・従業員数:88万人(業界第6位)
・研究開発費:2.6兆円(業界第3位)
・平均年収:610万円
出典:経済産業省工業統計(2015年)など
石油化学業界の今
苦境に立たされた現在
いきなりですが、日本の石油化学業界は厳しい局面を迎えています。
理由はガソリン需要の減少と海外との価格競争です。具体的には、
- 人口減少やエコカー普及に伴うガソリン需要の減少
- 中国のガソリンの台頭
- アジア圏での巨大製油所の台頭
- アメリカのシェール革命
などがあります。
最近は中国や中央アジアに巨大な製油所が誕生し、価格競争で一層不利な状況となっています。また作ったガソリンの質も大差なくなってきています。
中国・中東での大型プラント建造と、北米でのシェール革命が最重要ポイント
吸収・合併を繰り返す
生き残りをかけて業界内で積極的に企業同士の合併が行われています。
最近(2017年頃)ではJXエネルギーと東燃ゼネラルが合併し、ENEOSなる会社が誕生しました。業界No.1のJXが合併なので少し驚きました。
他にも、出光興産と昭和シェル石油が合併間近と言われています。
加えて、2016年以降で3基の大型の設備(エチレンプラント)が停止されるなど、事業の縮小を繰り返しています。
石油化学業界の各社分析
待遇の良い会社が多い!
とはいえ、日本の石油化学会社は安定していて給料も良い優良企業ばかりであるという側面も事実です。
例えば出光興産は平均年収が952万円などです。
業界的に高年収で好待遇です。
ENEOS
ENEOSは文句なく業界No.1の石油化学会社です。
2017年にJXエネルギーと東燃ゼネラルが合併してできました。
石油だけでなく水素などの次世代型エネルギーの研究も行っています。
平均年収:1106万円(2016年:旧JXエネルギー)
出光興産
伝統ある石油元売り会社。業界第2位。
ちなみに出光興産は映画にもなった【海賊と呼ばれた男】の題材となった会社です。
創業者一族による経営が続いていたことで有名。
平均年収:952万円(2016年)
コスモ石油
業界第3位の石油元売り会社。
中央研究所を持つ。
平均年収:939万円(2016年)
昭和シェル石油
業界第4位の石油元売り会社。
平均年収:948万円(2016年)
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