2018年は鉄鋼メーカー国内3番手に位置する神戸製鋼所の不祥事が印象的だった鉄鋼業界でした。
鉄鋼は日本の産業を支える重要な業界なので、再起を図って欲しいものです。
しかし、そうも言えない状況かも?
最大の取引先『トヨタ自動車』からの圧力
トヨタは最近『100年に1度の大改革!』といって、新日鉄住金などの鉄鋼メーカーに鉄鋼の”値下げ”を要求しているようです。
鉄鋼メーカーにとって、自動車メーカーは超大口のお得意様です。
中でもトヨタ自動車が相手となれば、無視するわけにも行きません。
鉄鋼業界は世界的に強い日本の自動車メーカーに、かなりお世話になっているため、頭が上がりません。
原材料費の高騰
昨今どの業界でもそうですが、原材料費の高騰が問題となっています。
実は鉄鋼に関しては、平成15年頃までは原材料費の下落傾向が続いていたのですが、16年以降は中国の内需増大により価格が高騰しました。
加えて人手不足による人件費高騰と輸送コストの高騰も影響しています。
なので本当は鉄鋼メーカーもかなり値上げをしたいところなのですが、前述のように最大の顧客である『トヨタ自動車』からの値下げ圧力により価格を上げられない状況があります。
設備の老朽化
これも鉄鋼業界に限らず石油化学などにも言えますが、工場の老朽化も大きな問題です。
今すぐにというわけではないでしょうが、今後の設備投資のための巨額のマネーが必要な状況であることは間違いありません。
とは言え好待遇な社員
しかしそうは言っても鉄鋼業界は安定&好待遇です。
例として鉄鋼業界1位の新日鐵住金と2位のJFEスチールを上げますが、以下のような年収水準です。
新日鐵住金:総合職 995万円
JFEスチール:総合職 960万円 (2019年度四季報より)
総合職のデータなので、工場勤務の方のデータは含みませんが、国内のメーカーとしてはかなり上位にランクする待遇です。
有給取得日数も新日鐵で14.6日、JFEスチールで13.5日と、かなりの日数を取得出来ています。
この待遇がある日突然、激変するということは中々考えにくいので、少なくとも10年ぐらいは就活生にとって魅力的な会社であり続けるのではないかと思います。
これらの会社が傾くときは日本が傾くときです。
まとめ
神戸製鋼所の不正や原材料費&輸送費の高騰、トヨタ自動車などの自動車業界からの値下げ圧力等、マイナス要素は少なからずあります。
加えて、世界の大手鉄鋼会社(ミタルなど)との競争もあり、楽観視はできない状況でしょう。
とは言え、鉄鋼業界は日本を根底から支える企業群の一つであり、業績が急激に傾くことはあまり考えにくいと思います。
実際、社員の待遇はかなり良いのと、私の経験上ですが鉄鋼メーカーは今でも割と”羽振り”が良いです。
なので、”冬の時代”かもしれませんが、それでも就職にはオススメできる業界です。