マイケル付加の1,4付加とは何処なのか?疑問に思う人も多いと思います。
マイケル付加とは、求核剤がα,β不飽和カルボニルなどの求電子剤に対してアタックして起こる反応で、1,4付加するという特徴があります。
しかし、そもそも1,4付加って具体的にどこのことなんでしょうか?数え方は?
この記事ではマイケル付加の1,4付加の場所について解説します。
マイケル付加とは
エノラートイオンやアミンなどの電子リッチな求核剤(Nu:)が、α,β-不飽和カルボニルなどの電子不足なβ炭素などを攻撃することにより起こる反応です。
このマイケル付加という反応は、『1,4付加』することが知られています。
しかし、1,4付加とはどこのことを言っているのでしょうか?
1,4付加とは?
まずこの1,4付加の1,4とは求電子剤側の番号です。
上記の反応なら、α,β不飽和カルボニルの1位と4位の原子に起こる付加反応という意味です。
具体的に、1位と4位とは下記の場所のことです!
1,4付加とは、求核剤の1個は二重結合(β炭素)に付加し、もう一個の求核剤(主にプロトン)はカルボニル酸素に付加するような付加反応のことです。
ちなみに、カルボニル基(C=O)に2つの求核剤が付加する場合も1,2付加と呼ばれるので注意して下さい。
例えば、NH2OHを使うと、カルボニル基への1,2付加を行わせることが出来ます。
(縮合しますが。)
あれ、でも1,4付加してなくね?
でも上記の反応をよく見てみると、マイケル付加は全然1,4付加してないことに気づきます。
というのは、1,4付加なら、カルボニル基の酸素にプロトンが付加していないとおかしいためです。(その結果ヒドロキシ基になる・・はず・・)
なのにそうはなっていません!!
生成物を見てみると、カルボニル基は無傷でそのまま残っており、逆にα炭素(2位)に水素が付加しています。
これはどういうことでしょうか?
エノール型は互変異性によりケト型に変わった
本当は1,4付加したが、異性化により1,2付加になった!
ケト・エノール互変異性はご存知ですか?
熱力学的に不安定な『エノール』が『ケト』に異性化する反応です。
(エノールとは二重結合(C=C)にアルコール基が直接結合した構造のこと。)
1,4付加してできる付加物は、-C=C-OHというエノール型の構造をしています。
しかし説明の通り、この構造は不安定でありるためケト型に互変異性化します。
その結果、最初は1,4付加でカルボニル酸素にHがついてたのですが、異性化してしまうため結果的に1,2付加したような構造に見えるのです。
それが話をややこしくしている原因になります。
まとめ
マイケル付加における1,4付加について解説しました。
1,4付加についてわかりましたでしょうか!?
この記事では、特に1,4付加の1と4ってどこなのか?に重点を置いて説明しました。
マイケル付加の1,4付加が、1,2付加しているように見える理由は、エノールの異性化によりケト型に変わってしまうことにより起こる現象であることも説明しました。
混乱しないように、注意しましょう!