今回は印刷業界の2強の1角である大日本印刷(DNP)における学歴重要度を見ていきます。
大日本印刷と凸版印刷は印刷業界における2強で、両社とも売上高1兆円を超えており双璧をなしています。
今回は大日本印刷に採用されやすい大学について考察します。
会社の概要
まず大日本印刷(DNP)がどのような会社か簡単に見ていきます。
事業内容 | 情報コミュニケーション(54%)、生活・産業(28%)、エレクトロニクス(14%)、清涼飲料(4%) |
主な商品 |
書籍や雑誌などの出版印刷、チラシなどの商業印刷 有機EL フィルム 電子コンテンツ、IT,VR(仮想現実)など |
売上 | 1兆4,160億円 (営業利益:520億円) |
平均年収 | 726万円 (42.2歳) |
特徴 | ・従来の印刷技術にとどまらない経営多角化が凄い ・凸版印刷と2強 ・凸版印刷とは事業内容がかなり被っている ・有機ELや液晶パネル、医薬品の包装材なども手掛ける ・従来の紙媒体の印刷需要は落ち込む(ピーク時からほぼ半減) ・実物の印刷だけでなく電子書籍の”印刷”が主流になりつつある ・「学生が選ぶ就職人気企業ランキング2019(学情)」で9位 ・3年後離職率は約10%。 ・海外売上比率17% |
大日本印刷は印刷業界の大手企業ですが、紙媒体における印刷需要の低減に伴い、事業をエレクトロニクスなどに転換しています。
印刷産業はここ10年で2兆円近く出荷高が減っており、現在は約5兆円規模。
大日本印刷が就活生に人気(就職人気ランキング2019で9位)だったのは、IT化への取り組みが学生に好評だったためではないかと考えられている。
乾氏はさらに、電子書籍やVR(仮想現実)といった、出版や印刷業界のデジタル・IT面での取り組みが、若い世代にとって身近に感じられているようだと指摘。会社側の採用の取り組みとしても、上位の社では、こうした先端の技術や取り組みに力を入れている、というアピールに熱心であることも奏功したとみている。(J-CASTニュース)
例えば、スマホやタブレットで読む「電子書籍」の作成技術などを強化しています。
加えて、有機ELや液晶ディスプレイ、半導体部材などおよそ印刷メーカーが行うとは思えないような事業まで手掛けます。
大日本印刷は本業の『印刷』から大きく事業構造を転換しようとしていますが、それができる技術力を持った企業と言えます。
また、凸版印刷も同様の事業転換を行っており、両企業は多数の共通点があります。
大日本印刷が求める人材は、『チャレンジ精神を持ち、コミュニケーション力のある人』です。
大学群採用実績の比較
では大日本印刷の大まかな採用校の傾向を見ていきたいと思います。
『旧帝大』『早慶』『関関同立』などの括りで、過去29カ年における大日本印刷の採用実績の”偏り”を分析します。
大日本印刷は早慶とMARCHが圧倒的に多いですが、全体的な採用傾向としては、MARCH以上の層を中心に中堅~高学歴を満遍なくバランス採用しています。
旧帝大や難関国公立からも多く採用されていますし、関関同立からも旧帝大と同等程度採用されています。
1点、産近甲龍についてのみは採用数が少なくなっています。
これは大日本印刷の本社が東京にあることも影響していると思われます。
より詳細に見てみると、旧帝大よりも難関国公立7大学の方が実績が上というのが面白いデータです。
仮説として、大日本印刷がバランス採用に拘って「東大や京大など旧帝大の採用を抑制している」というのが1つ考えられます。
もう一つ仮説として、昨今の印刷物需要の激減を受けて「超高学歴層に逃げられ」ており、代わりに「やや高学歴層」が採用されている、という可能性もあります。
規模の割には平均年収が低いことを考えると、後者の可能性も捨てきれません。
特に実績の多い大学ベスト10
次に具体的に採用人数の多い10大学を、ランキングで見ていきます。
(ただし大学によっては若干年数が異なる。)
また、千葉大、横浜市立大学、大阪市立大、大阪府立大、国際教養大など一部の都市圏国公立と地方国公立は集計に入っていない。私立ではICUが入っていない。
順位 | 大学名 | 採用実績(過去29カ年) |
1 | 早稲田 | 738 |
2 | 慶應 | 565 |
3 | 日本大 | 361 |
4 | 明治 | 344 |
5 | 中央 | 293 |
6 | 東京理科大 | 261 |
7 | 同志社大 | 240 |
8 |
東工大 | 227 |
9 | 法政 | 217 |
10 | 関西大 | 211 |
大日本印刷はやはり早慶が多いです。
1位と2位を早慶が独占していますし、4位以下を突き放しています。
加えて、東工大が8位にランクインしているのが興味深いです。
これは技術力の高い社員を求めてのことなのでしょうか。
だとすると理科大が多いのも、うなずけます。
全体を見ると、MARCHや関関同立も多く、バランスが良いことが分かります。
日本大学からは上の表の通り361名採用されていますが、東洋大学からは17名しか採用されていません。他の2校も似たような採用状況です。この差は大きいです。OB関係でしょうか。
参考)週刊ダイヤモンド 2017年 9/16 号 [雑誌] (1982~2017 大学序列)
学歴重要度
学歴重要度:(やや高い)
私が判断した大日本印刷における就職での学歴重要度は、3.0です。
- 早慶が圧倒的に強い
- MARCHや関関同立が2番手ポジション
- 旧帝大や難関国公立もそれなりに採用され、特に東工大は8位にランクイン
- 日東駒専は日大だけ多いが他は少ない。
- 産近甲龍もかなり少ない。
参考)週刊ダイヤモンド 2017年 9/16 号 [雑誌] (1982~2017 大学序列)
まとめ
大日本印刷(DNP)は企業としては、印刷からエレクトロニクスなどに方向転換を図っている興味深い時期です。
写真フィルムの衰退から事業転換で再生した富士フィルムを彷彿とさせます。
採用傾向は、早慶が圧倒的に多いですが、基本的には中堅以上をバランス採用している印象です。東大や京大などの超高学歴層はそこまで多くなく、それぞれ112名と72名の採用にとどまっています。
日東駒専から日本大学の採用だけが、なぜか突出して多くなっています。
もしかすると企業と大学の繋がり、あるいはOBと大学との繋がりがあるのかもしれません。それぐらい日大からの採用が圧倒的です。