業界研究/企業分析

【製薬】エムスリーの株価上昇が意味する「MR職の削減」

医療_オンライン

エムスリーの株価が大幅上昇しています。
コロナ前から上がってきてはいましたが、コロナ後の上昇は驚異的です。
何が期待されているのでしょうか?またそれにより何が影響を受けるのでしょうか?
製薬会社のMRには、厳しい将来となりそうです。

エムスリーはMR職を駆逐する

エムスリーの事業内容は、簡単に言えば「製薬会社のMR職のオンライン化」です。

これまで病院の医師に直接伺って、薬の提案や説明を行っていた製薬会社の営業担当(MR)ですが、エムスリーの保有するオンラインシステムである「MR君」により、直接伺わずともオンラインで仕事を完結できるようになりました。

「MR君」は、医薬品、疾病、治療等医療に関する情報を提供するツールです。
登録いただくことにより製薬企業からダイレクトに豊富な情報を得ることができ、また相互コミュニケーションも可能です。
「QOL君」は、開業支援、転職など医療以外の情報を提供するツールです。
(引用: https://www.m3.com/open/help/help15.shtml)

MRの仕事は従来より非常に「無駄」が多いとされていました。
例えば、「顧客の医師に面会するために病院で3時間待機する」「お世話になっている医師への集団接待」「医師が主催するホームパーティーへの参加」など、およそ製薬会社の社員が行うべき内容では有りません。
(最近は法改正により、製薬会社による医師への表立った接待は禁止されるようになりました。)

製薬会社とってもMRの人件費や交際費などの負担が大きく、また医師にとっても多忙なのに製薬会社による強引な営業はあまり良いことではありませんでした。
(得したのは、悪徳医師だけ!)

そのような状況をエムスリーのMR君が破壊しようとしています。

エムスリーの株価(2021/01/15時点)
とんでもない上昇幅です!

コロナで追い風を得たエムスリー

しかし、ここにきて急激に変化が訪れようとしているのは、コロナの蔓延がきっかけでした。
病院内でのクラスター発生がたびたびニュースになりますが、感染リスクがある製薬会社の営業は、病院の医師に面会できなくなったのです。

直接出向けないので、当然ビジネスの方法は「オンライン」になります。

MR職はコロナ後も元通りには戻らない

私はホテルや旅客などは、コロナ後はある程度元通りになると思っていますが、MRに関してはもう元通りには戻りません。

コロナは完全にはなくなりません。ウイルスとはそういうものです。
なくならないのであれば、病院のような「クラスターが発生しやすく、発生した場合の影響が甚大」な施設に、外部から直接出向くことはできないのです。

それだけでなく、オンラインにより高額な人件費のMR職を削減できる「MR君」は製薬会社に多大なメリットをもたらし、医師にとっても感染の心配なく都合が良い時にオンラインで質の高い情報を得ることはメリットであり、もはやこれまでのようなビジネスを行うメリットがどこにも見当たらないためです。

もちろん0にはなりません。MRが直接出向いて医師に説明することのメリットもないわけではありません。程度問題です。

まとめ

文系出身者でもなれた製薬会社のMR職。
大手の平均年収は1,000万円を超える花形職業でしたが、今後は歪んだ市場が適正化されることになります。

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