2021年度における国内大手製紙メーカー4社について、ランキング形式で業績の比較を行いたいと思います。日本製紙の1人負けの状況が注目に値します。
売上高のランキング
大手製紙4社の売上高を、ランキング形式で比較します。
売上高1.47兆円の王子HDと1.05兆円の日本製紙が従来通りの2トップです。
その下にレンゴー、大王製紙と続きます。
営業利益のランキング
次に大手4社の営業利益をランキング形式で比較します。
王子製紙が1201億円でトップ。こは王子HDにとって、過去最高益となっています。
一方、売上高では2位となっている日本製紙が、利益の方は奮いません。
大王製紙、レンゴーは健闘しています。
営業利益率のランキング
営業利益率も見てみます。
王子製紙の8.2%を筆頭に、各社製紙業界にしてはかなり良い数字と思われます。
日本製紙の完全な1人負けです。
株式市場でもダントツで評価が低い日本製紙
詳細データ(2022/6/10時点)
株価データのうち特にPBRを見てみます。
企業名 | PBR(倍) |
大王製紙 | 0.92 |
王子HD | 0.65 |
レンゴー | 0.51 |
日本製紙 | 0.26 |
日本製紙はPBRが0.2倍台という異常な割安さで取引されています。
これは日本製紙が実際に保有するとされる資産のうち、0.26倍(つまり約1/4程度)の時価総額しか評価されていないことを意味します。
これの意味するところは、日本製紙は将来的に業績が回復せず、保有する資産を棄損していくだろうと予想されているということです。
倒産も視野に入っているレベルと考えられます。
なぜ日本製紙が一人負け
大手4社の業績について見ると、明らかに日本製紙だけが1人負けしていることがわかるかと思います。これは何故でしょうか?
日経によれば、これは「段ボール事業」に1つの答えがあるそうです。
近年、アマゾンなどの旺盛な物流需要で示されている通り、段ボールの需要が急増しています。そこで、しっかり稼げたかどうかが分かれ目になったと分析されています。
日本製紙以外の王子製紙、大王製紙、レンゴーは、各社とも段ボール事業にしっかり投資してきており、特にコロナ禍以降需要が急増している物流需要の急増に支えられて利益を伸ばすことができました。
一方で日本製紙は家庭紙やコピー紙などの旧来型の事業に固執し、利益を伸ばすことができなかったということです。
まとめ
製紙メーカー大手4社の業績比較を行いました。
それほど事業内容が違うわけでもない4社ではありますが、業績にはかなり大きな違いが生じてきており、日本製紙のみが将来性が危ぶまれるほど落ち込んでいます。
段ボールなどの物流需要や、コロナ禍で注目されている衛生用品需要など、これらをしっかり取り込めているところが勝てている状況です。
株式市場的には大王製紙がかなり評価されており、実はPERも23.86倍あります。(王子HDは7.95倍) 業界2位の評価であった日本製紙も、その座を大王製紙に明け渡すかもしれません。
日本製紙にはセルロースナノファイバーという最終兵器があるので、これで逆転することを期待したいです。
また王子HDと同様、日本製紙も広大な森林を保有しているので、これは安心材料かもしれません。