前回の三菱商事に引き続き、今回は総合商社No.2である伊藤忠商事の学歴重要度を見ていきます。
全5回で、日本を代表する総合商社である5大商社(三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、住友商事、丸紅)の分析を行っています。
この記事では伊藤忠商事の企業概要と、就職データから見えてくる採用の傾向について分析したいと思います。
会社の概要
まず伊藤忠商事がどのような会社か簡単に見ていきます。
事業内容 | トレーディング、投資、経営など |
主な出資先 | ファミマ、デサント、プリマハム、不二製油、CITICなど |
売上 | 11兆6,004億円 |
平均年収 | 1,520万円(41.7歳) |
特徴 | ・非財閥系 ・資源投資も行っているが非資源>資源(利益高)である。 ・ファミリーマートを子会社化している。 ・消費財に強いと言われ、デサントにも多額の出資。 ・伝統的に繊維系に強い。 ・2018年度は資源価格高騰などにより過去最高益を達成。 (そのため平均年収も1520万円まで伸びた。) ・5大商社の一角である”丸紅”と起源が同じ。 |
伊藤忠商事の最大の特徴は、非資源系への収益力の強さです。
2018年度は非資源での純利益が3,780億円でした。
ファミマやデサントなどへの出資が有名で、中国の国有企業であるCITICに投資していることでも知られています。
大学群採用実績の比較
では伊藤忠商事の大まかな採用校の傾向を見ていきたいと思います。
『旧帝大』『早慶』『関関同立』などの括りで、過去29カ年における伊藤忠商事の採用実績の”偏り”を分析します。
5大商社の採用傾向は驚くほど一致しています。すなわち
早慶>旧帝大>>難関国公立 or MARCH>関関同立>>日東駒専 or 産近甲龍
となっているのが基本です。
旧帝大および早慶といった高学歴の採用が目立ちます。
関関同立とMARCHクラスまでは十分に採用のチャンスはありますが、それ以下の日東駒専や産近甲龍クラスになるとかなり厳しい数字になります。
特に実績の多い大学ベスト10
次に具体的に採用人数の多い10大学を、ランキングで見ていきます。
(ただし大学によっては若干年数が異なる。)
また、千葉大、横浜市立大学、大阪市立大、大阪府立大、国際教養大など一部の都市圏国公立と地方国公立は集計に入っていない。私立ではICUが入っていない。
順位 | 大学名 | 採用実績(過去29カ年) |
1 | 慶應 | 645 |
2 | 早稲田 | 500 |
3 | 東大 | 283 |
4 | 京大 | 209 |
5 | 一橋 | 196 |
6 | 上智 | 179 |
7 | 神戸大 | 165 |
8 | 同志社大 | 137 |
9 | 青山学院 | 133 |
10 | 阪大 | 130 |
5大商社らしく早慶が圧倒的です。
3,4位も東大・京大で、5位に一橋と、高学歴大学のオンパレードです。
10位に阪大など、旧帝大の健闘が目立ちます。
一方、東洋大や大東文化大などのクラスからの採用は”皆無”です。
いわゆる“大東亜帝国”と呼ばれる大学群から、伊藤忠商事を含む5大商社への就職は限りなく0に近くなっており、数名いれば良い方という状況です。
ここでは集計されていませんが、ボストン大などの海外大学や、ICU、国際教養大などの英語に強みのある大学からの採用も多いです。
学歴重要度
学歴重要度:(かなり高い)
私が判断した伊藤忠商事における就職での学歴重要度は、4.5です。
- 早慶と旧帝大が圧倒的ボリュームゾーン
- 旧帝大の中でも東大と京大が多く、一橋も5位にランク
- 日東駒専と産近甲龍からは殆ど採用されない
- 大東亜帝国クラスからはほぼ皆無
- 海外大やICUなどからの採用も多い
まとめ
伊藤忠商事は、5大商社型の採用傾向と言えます。
つまり早慶が断トツで多く、次いで東大・京大などの上位旧帝大が位置します。
伊藤忠商事はMARCHや関関同立クラスからの採用はそれなりにありますが、それより下となると厳しい印象です。
ただし、日本女子大や津田塾大などの”お嬢様大学”からはかなり採用されています。
武庫川女子大や神戸女学院などの関西の女子大からも多少採用されています。
基本的には早慶+上位旧帝大が、伊藤忠商事には採用されやすいです。
参考)週刊ダイヤモンド 2017年 9/16 号 [雑誌] (1982~2017 大学序列)